
直近の日本におけるビジネス動向、投資動向、規制動向をまとめます。
日本のビジネス動向
◾️JVCEA取引高および口座開設数
2025年2月までの過去12ヶ月のJVCEAの提供する取引高および口座数
- 2025年2月の現物取引高は約1.9兆円と、前月比で約6,184億円減少しました。一方、証拠金取引高も同様に約3,337億円減少しています。
- しかし、2024年3月と比較すると、現物取引高は大きく減少している一方で、証拠金取引高は増加しています。このことから、取引全体に占める証拠金取引の比率が相対的に高まっていると考えられます。
- 利用者口座数については、全体として増加が続いています。2025年2月時点での利用者口座数は約1,231万口座と、前月比で約17.6万口座増加しています。ただし、2025年1月から2月にかけての増加はやや鈍化しています。
- また、証拠金取引の利用者数も同様に増加傾向にありますが、その増加ペースもやや落ち着いてきている様子がうかがえます。

参照:https://jvcea.or.jp/cms/wp-content/themes/jvcea/images/pdf/statistics/202502-KOUKAI-01-FINAL.pdf
◾️LINEの「Mini Dapp」、公開1カ月で3,500万人が利用
LINE上で提供される分散型アプリ「Mini Dapp」は、公開から1カ月で累計ユーザー数が3,500万人を突破しました。専用アプリ不要の手軽さが支持され、日本・台湾・韓国などで約3億円のアプリ内課金を記録。ユーザー1人あたりの平均支出額は約5,800円、有料ユーザー比率は13%と高水準でした。
この成長により、基盤となるKaiaチェーンも急拡大しています。ウォレット数は1カ月で約1,168%増加し、アクティブユーザー数や取引件数も大幅に上昇。現在42種類のMini Dappが提供されており、ゲームや健康アプリなど多彩なコンテンツを通じてWeb3の普及を後押ししています。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000154579.html
◾️Soneium、Web3ゲームをLINEミニアプリで展開へ
ソニーブロックソリューションズラボが開発するブロックチェーン「Soneium」は、Web3ゲームのLINEミニアプリ版を今後展開することを発表しました。アメリカ・ヨーロッパ・アジアの代表的なWeb3ゲームを対象に、約2億人のLINEユーザーに向けて、アプリダウンロードや会員登録なしで簡単にアクセスできる仕組みを提供します。なお、今回の展開はLINEとの正式な提携ではなく、LINEプラットフォームの活用を目的としたものです。
Soneiumは、Web3アプリをより身近にすることを狙いとし、既にLINE上で成功しているミニアプリを自社エコシステムに統合する方針です。ソニーブロックソリューションズラボの渡辺潤会長は、この取り組みによりエンゲージメントとユーザー獲得が大きく前進すると述べています。今後のゲームラインナップやユーザーの反応にも注目が集まります。
参照:https://soneium.org/en/blog/LINE-MINI-App
◾️Soneiumとアニモカが提携、アニメファンのWeb3参入を支援
ソニーグループ傘下のSoneiumは、Web3大手のアニモカブランズと提携し、アニメファンのWeb3参入を後押しする取り組みを開始しました。アニモカのID基盤「Moca Network」を活用し、分散型ID「Anime ID」によるIDレイヤーをSoneium上に構築しました。これにより、複数のdAppで共通のIDが利用可能になり、ユーザー体験の向上や参入障壁の低減を図ります。今後はアニメ関連のキャンペーンも展開予定で、Soneium上でアニメ・Web3の融合が進められます。
参照:https://www.animocabrands.com/animoca-brands-partners-with-soneium-by-sony-block-solutions-labs
◾️KDDIとSUSHI TOP、生徒の取り組みをNFTで可視化へ
KDDIとSUSHI TOP MARKETINGは、大阪府の高校でNFTとオープンバッジを活用し、生徒の学校行事や部活動などの取り組みをデジタルで可視化する実証を開始しました。NFTは改ざんや複製ができないため、生徒の努力を唯一のデジタル証明として活用可能です。大学入試や自己PRへの活用も視野に入れており、学習意欲の向上や教育現場でのデジタル証明の普及が期待されています。
参照:https://www.sushitopmarketing.com/news/kddi-osakaedc-openbadge
◾️西川町とメタウォーター、DAO活用で水道インフラの維持管理へ
山形県西川町とインフラ企業メタウォーターは、DAO(分散型自律組織)を活用した水道施設の維持管理に関する実証試験で連携を開始しました。人口減少や財政難に直面する中、住民参加型のインフラ管理を目指す取り組みで、2025年度から住民参加による実証試験が本格化します。フレームダブルオーのWeb3プラットフォーム「Clubs」などの技術も活用し、持続可能な地域インフラの実現を目指します。
参照:https://www.metawater.co.jp/news/2025/03/web3.html
◾️TISとgC Labs、ノード運営の合弁会社「Hinode Technologies」設立へ
TISとgC Labsは、ブロックチェーンのノード運営および暗号資産会計管理システムの提供を目的に、合弁会社「Hinode Technologies」を4月1日に設立しました。主にステーキング報酬や暗号資産の運用を行い、将来的には得られたノウハウを基に企業向けの会計支援サービスも展開予定です。両社の強みを融合し、Web3インフラ分野で国内トップシェアを目指します。
参照:https://www.tis.co.jp/news/2024/tis_news/20250312_1.html
◾️TIS、京都カグヤライズのデジタル社債を発行
TISは、女子プロ卓球チーム「京都カグヤライズ」の運営元・京都卓球クラブと連携し、私募によるデジタル社債「カグヤスマイルトークン」を発行しました。発行には独自のセキュリティトークンプラットフォーム「STLINK」が活用され、ブロックチェーンにはAvalancheを採用します。
資金は卓球スクール事業の強化などに充てられ、Tリーグとしても初のセキュリティトークンによる資金調達事例となります。スポーツ×Web3の新たな活用モデルとして注目されています。
参照:https://www.tis.co.jp/news/2024/tis_news/20250318_1.html
◾️NRIら5社、デジタル債のDVP決済とデジタル通貨による証券決済を実証
野村総合研究所、野村證券、BOOSTRY、ディーカレットDCP、三井住友銀行の5社は、国内初となる「デジタル債のDVP決済」および「デジタル通貨による証券決済」の実証実験を実施しました。
BOOSTRYのブロックチェーン「ibet for Fin」や三井住友銀行の銀行機能を活用し、約定日+1営業日での高速決済を実現します。さらに、デジタル通貨「DCJPY」による証券決済の運用可能性も確認され、将来的なSTP化やリアルタイム決済への展開が期待されています。
参照:https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/nsc/20250314/20250314.html
◾️オープンハウス、不動産決済にXRP・SOL・DOGEを追加対応
オープンハウスグループは、海外顧客向けの不動産販売決済でXRP、SOL、DOGEによる暗号資産決済を新たに導入しました。すでに対応していたBTCとETHに加え、さらなる利便性向上を図ります。
同社は以前からライトニングネットワーク活用にも注力しており、Web3技術を活かした越境決済やマイクロペイメントの実用化を進めています。今回の対応は、ブロックチェーン技術の事業活用を本格化させる動きの一環と位置付けられています。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000706.000024241.html
◾️NTT Digital、ZetaChainのバリデーターに参画
NTTドコモの子会社でWeb3事業を担うNTT Digitalが、オムニチェーン型L1ブロックチェーン「ZetaChain」のバリデーターとして参画していたことが明らかになりました。
同チェーンは複数のブロックチェーンへネイティブ接続可能な「ユニバーサルブロックチェーン」を目指しており、CoinbaseやGoogle Cloud、アリババクラウドなどもバリデーターとして参加しています。NTT DigitalはFigmentとの連携も発表しており、バリデーション事業を本格化させる方針です。
参照:https://blog.zetachain.com/ntt-digital-part-of-fortune-500-telco-ntt-group-joins-zetachain-as-a-validator-159ef84c504f
規制動向
◾️自民党、暗号資産を金商法の新枠組みに。分離課税も視野
自民党のWeb3ワーキンググループは、暗号資産を金融商品取引法の中で新たなアセットクラスとして扱う制度改正案を公表しました。発行事業者への情報開示義務やインサイダー規制、交換業者への資本規制などを設けつつ、投資家保護と業界の萎縮防止を両立させる内容です。
また、税制面では、これまで雑所得として総合課税されていた個人の暗号資産取引について、株式や投資信託と同様の分離課税の導入が検討されています。制度案ではさらに、発行形態に応じた柔軟な規制体系が設計されており、公募による新規発行には一定の開示義務を課す一方で、私募や既存資産の流通については過度な負担を避ける方針が取られています。
参照:https://www.hirataku.com/uploads/67ca64ff9294c781d88e3989.pdf
◾️政府、資金決済法改正案を閣議決定。仲介業創設とステーブルコイン規制緩和へ
日本政府は、暗号資産の「仲介業」創設や信託型ステーブルコインの運用規制緩和を含む資金決済法の改正案を閣議決定しました。改正後は、ステーブルコインの裏付け資産として、最大50%まで国債や短期の定期預金での運用が認められる見込みです。
今回の法改正は、金融のデジタル化に対応しつつ、国際競争力の強化と利用者保護の両立を目的としています。
参照:https://www.fsa.go.jp/common/diet/217/02/setsumei.pdf
◾️金融庁、暗号資産を「金融商品」へ分類見直し。インサイダー取引規制も視野
金融庁は、暗号資産を「金融商品」として扱う金融商品取引法の改正案を2026年をめどに国会へ提出する方針です。これにより、株式などと同様にインサイダー取引規制を適用可能とする狙いがあり、市場実態に即した法整備が進められます。
近年は海外での不正事例も多く、日本でも類似の行為を未然に防ぐ体制強化が求められていました。
参照:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2126S0R20C25A3000000/
◾️JCBA、RWAトークンのガイドラインを公開 実用化に向けた課題整理も
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は、現実資産をトークン化する「RWAトークン」の発行・流通に関するガイドラインを公表しました。トークンによる資産の小口化や流動性向上の可能性に触れるとともに、法的・技術的な課題やリスクへの対応方針も明示。
Sake WorldやNOT A HOTELなどの活用事例も紹介されており、国内におけるRWAトークンの実用化促進を目指す動きとして注目されています。
参照:https://cryptocurrency-association.org/policy/20250314-001/