
- 不動産のトークン化は、不動産における資金調達、所有、取引の主要な方法となり、2035年までに4兆ドル規模の市場に成長する可能性があるとDeloitte Center for Financial Servicesはレポートに記した。
- トークン化は、オペレーションの効率化、決済の迅速化、投資家のアクセス拡大などのメリットをもたらす。
- だが一方で、資産のカストディ(保管・管理)、規制の明確化、デフォルトの可能性などの課題も残っている。
不動産のトークン化は、かつてはニッチな実験的取り組みだったが、Deloitte Center for Financial Servicesが4月24日に発表したレポートによると、不動産における資金調達、所有、取引の主要は方法となる可能性があるという。
デロイトは、トークン化不動産市場は2035年までに4兆ドル(570兆円、1ドル143円換算)に達し、現在の300億ドル以下から年率換算27%の成長率で拡大すると予測している。

RWA(Real World Assets:RWA)のトークン化は、暗号資産技術と伝統的金融が融合する注目の分野。債券、ファンド、不動産といった資産をデジタル化し、ブロックチェーン上で所有権を表す仕組みを言う。
RWAのトークン化は、オペレーション効率の向上、決済のコスト削減と高速化、投資家のアクセス拡大などのメリットをもたらす。
不動産におけるトークン化のメリットは、複雑な金融契約の自動化と簡素化にあるとレポートは述べている。つまり、所有権の移転や資金の流れをあらかじめプログラム化されたルールで取り扱う不動産ファンドをブロックチェーン上で立ち上げるようなことだ。
デロイトは例として、信託ベースの融資を行うKin Capital(キン・キャピタル)の1億ドル(143億円)規模の不動産債務ファンド・トークン化プラットフォーム「Chintai」をあげている。
レポートは、トークン化不動産は大きく3つの領域が占めると述べている。「ローン所有権の証券化」「プライベート(私募)不動産ファンド」「建設中または未開発の土地プロジェクト」だ。これらの中で「ローン所有権の証券化」、つまりトークン化された債務証券が最も成長し、2035年までに2.39兆ドルの規模に達すると予想している。プライベート不動産ファンドは約1兆ドル、開発プロジェクトは約500億ドル。

一方でレポートは、資産のカストディ(保管・管理)、規制の明確化、デフォルトの可能性などの課題も残っていると指摘している。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Unsplash
|原文:Global Tokenized Real Estate Market Could Explode to $4T by 2035, Deloitte Forecasts