バイナンス、暗号資産運用会社向けに「ファンド口座」を提供──伝統的金融取引を反映
  • バイナンスのファンド口座は、ユニバーサルな単位あたり純資産価値(NAV)を提供し、管理負担を軽減する。
  • 適格資産運用会社は、各管轄区域でライセンスを取得する必要があり、複数のファンド口座を作成し、各ファンドに合わせた異なる取引戦略を展開できる。

世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンス(Binance)は、暗号資産運用会社向けに、投資家の資産をプールできる特別な口座を提供し、暗号資産ファンドの運用業務を伝統的な金融の体験により近いものにする。

このオムニバス「ファンド口座(Fund Accounts)」は、買い手側企業が各ファンドの明確かつ追跡可能な損益を提供するために使用する、ユニバーサルな単位あたり純資産価値(NAV)の概念を導入し、暗号資産運用において共通の市場基準が欠如していることに対処する。バイナンスが23日に発表した。

巨額の金融取引という高度な世界とは異なり、暗号資産取引は、比較的未成熟な個人投資家向け市場から、より機関投資家フレンドリーな環境へと発展する過程にあり、その過程ではインフラの変革が不可欠だ。

「伝統的金融(TradFi)において、資産運用は非常に成熟した確立された産業だ」とバイナンスの機関およびVIP部門責任者、キャサリン・チェン(Catherine Chen)氏はインタビューで述べた。「暗号資産分野では、この特定の専門知識とインフラに対する需要が非常に高いと考えている。なぜなら、当面は参入障壁と学習曲線が比較的高いからだ」

同氏は、投資家と運用会社の双方に課題があると指摘。投資家にとって信頼は重要であり、明確なプルーフ・オブ・リザーブと透明性の高いNAVを有する確立されたブランドを利用することが重要な要素だと述べた。

適格資産運用会社は、各管轄区域でライセンスを取得する必要があり、管理業務やその他の運用業務の負担から解放され、複数のファンド口座を作成し、各ファンドに合わせた異なる取引戦略を展開できるようになる。

バイナンスのファンド口座に興味を持つ資産運用会社の規模は、運用資産残高(AUM)が最低約100万ドル(約1億4400万円、1ドル144円換算)から約2000万ドル(約28億8000万円)までと、同氏は予測している。

「さまざまなユーザーが混在するだろう。だが、明らかにこの種のインフラは、新興企業や小規模な資産運用会社が自力で事業を立ち上げ、適切に拡大していくための支援となるだろう」と同氏は述べた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:バイナンスの機関およびVIP部門責任者、キャサリン・チェン氏(Binance)
|原文:Binance to Offer Crypto Asset Managers ‘Fund Accounts’ That Mirror TradFi Trading