暗号資産ファンドへの資金流入はポジティブ、だがトランプ政権下で期待下回る:レポート
  • 暗号資産(仮想通貨)ファンドへの資金流入は、トランプ政権下で期待されていた追い風をまだ十分には受けていないと、Crypto Insight Groupが発表した最新レポートは述べている。
  • 「純流入は継続しているものの、リスク予算を調整する動きがあり、ペースは年初予想を下回っている」とレポートは指摘している。
  • だが、ファンドマネージャーのトランプ政権に対する全体的なセンチメントは「圧倒的に建設的」という。

Crypto Insight Groupの「Hedge Fund Outlook 2Q25」によると、暗号資産(仮想通貨)ファンドへの資金流入は、トランプ政権下で期待されていた追い風をまだ十分には受けていないという。

モメンタムは「依然としてポジティブだが、ファンドマネージャーがトランプ新政権下で予想していたよりも鈍化している」とレポートは記している。

「純流入は継続しているものの、リスク予算を調整する動きがあり、ペースは年初予想を下回っている」

トランプ政権の表向きは暗号資産フレンドリーな姿勢は、米国で規制の明確化が進む進むとの期待を高め、デジタル資産業界全体に強気モメンタムがもたらされるとの楽観論が広がっていた。

6月までに明確な規制枠組みが整備されるという期待は「やや楽観的過ぎたかもしれない」と、VanEck(ヴァンエック)のデジタル資産部門インベスターリレーションズ責任者、ローラ・ビディエラ・デル・ブランコ(Laura Vidiella del Blanco)氏はレポートで述べた。

「プライベートファンドには引き続き新しい資本が流入しているが、2025年の最初の数カ月は一連のサプライズが、資金アロケーターの投資判断や多くのファンドマネージャーが予想していた展開スピードに明確な影響を与えた」

トランプ大統領は与え、そして奪う?

暗号資産フレンドリーな政権に楽観論が広がったにもかかわらず、トランプ大統領が米国への輸入品に対する関税引き上げという攻撃的な計画を発表したことで、金融市場には混乱が生じ、暗号資産も他の資産クラスと同様に大きな打撃を受けた。

ビットコイン(BTC)は、今月初めに新たな関税が発効した後の数日間で、6カ月ぶりの安値となる7万6000ドル付近まで下落した。暗号資産コミュニティにとって、これは「トランプ大統領は与え、そして奪う」というサインかもしれない。

「トランプの関税はすでにグローバルマーケットに混乱を引き起こし、数兆ドルの価値を吹き飛ばした」と、Amitis Capital(アミティス・キャピタル)の最高投資責任者(CIO)クリス・ソラールズ(Chris Solarz)氏はレポートで述べた。

「大統領の一貫性に欠ける予測不能な発言は、投資家の信頼を揺るがし、1930年代型の保護主義への全面回帰への懸念を高めている」

それでもなお、ファンドマネージャーのトランプ政権に対する全体的なセンチメントはレポートの調査によると「圧倒的に建設的」という。

回答者の過半数(52%)は、今後12カ月の政策決定において、予想以上のポジティブなサプライズがあると予想していると回答。ネガティブなサプライズがあると予想した回答者は10%未満にとどまり、約40%は予想通りになるだろうと回答した。

レポートによると、ファンドマネージャーは、トークン分類の明確化、ステーブルコイン規制、現物市場プロダクトへの信頼できる道筋などのポジティブなサプライズを期待している。

「トランプ大統領の最近の地政学的な動きは、この見方を強化している。つまり、戦略的技術における米国の競争力を強調することで、機関投資家の採用を妨げるのではなく、加速させる要因となる可能性がある」

トランプ大統領の地政学的な動きが、機関投資家の暗号資産の採用に影響を与えるかどうかについて、回答者の意見は分かれた。約36%は採用を遅らせる、約34%は採用を加速させる、約30%は影響はないと回答した。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Crypto Fundraising Is Positive, But Slower Than Expected Under Trump Administration