コインベース、ユーザーデータをIRSから守るため最高裁訴訟で意見書
  • 米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)は、2016年に内国歳入庁(IRS)から顧客の取引記録を要求されたことに関連し、連邦最高裁判所のプライバシー訴訟で主張を行った。
  • コインベースは、政府が数十万人のユーザーのデータを求めたのは行き過ぎであり、この問題はプライバシーに関してより広範な影響を持つと主張している。

コインベースは、2016年に内国歳入庁(IRS)が数十万人の顧客のデータを求めた件に関連する連邦最高裁判所での裁判で意見書を提出し、裁判所は「サードパーティのサービスプロバイダーが保管するデジタル情報におけるアメリカ人のプライバシー利益を保護すべきだ」と主張した。

日本の国税庁にあたるIRSは、ドナルド・トランプ大統領の第一次政権時代に起こされた訴訟で、個人の取引記録はサードパーティと情報を共有した時点で利用可能になるべきだというスタンスのもと、取引記録の開示を求めていた。

この場合、そのサードパーティがコインベースだった。同取引所は法廷闘争を通じて要求の範囲を狭めようと戦い、最終的にはかなり狭い範囲のデータを提供することを余儀なくされた。

「裁判所は、サードパーティの原則はIRSが広範な捜査網を広げるのを許すものではないことを明確にするために介入すべきだ」と、コインベースは4月30日に提出した意見書の中で主張した。この訴訟は、プライバシーに関してより広範な影響を持つことになるだろう。

2020年、コインベースの顧客の一人であるビットコイン(BTC)研究者のジェームズ・ハーパー(James Harper)氏は、IRSが記録を要求したのは不当な行き過ぎであるとして、IRSを提訴した。

それから数年が経ち、弁護士であり、アメリカンエンタープライズ公共政策研究所(American Enterprise Institute)のフェローでもあるハーパー氏は高裁で弁論を行うことになる。

「政府が公開鍵やウォレットアドレスとユーザーの身元をマッチできる情報を取得した場合、ユーザーの匿名性は消え去り、ブロックチェーンは簡単に監視されるようになる」とコインベースは主張し、次のように続けた。

「このジョン・ドウ召喚状(調査対象の納税者の氏名が記載されていないIRSの召喚状)は、1万4000人以上のアメリカ人が、広範な個人情報や財務情報を求めて令状なしでIRSが捜索することに対して、合理的なプライバシーの期待を持っていた領域に侵入した」。

米司法省は以前、政府側を代表して、「人は、自分に関する銀行記録を含め、自発的にサードパーティに提供された情報には合理的なプライバシーの期待を欠く」と主張していた。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:Coinbase Leaps Into Supreme Court Case in Defense of User Data Going to IRS