
- 直近のビットコイン急騰により、トレーダーは10万ドル到達を楽観視しているものの、過去の傾向からは、5月が近づくにつれて注意が必要となる。
- 「5月に売って立ち去れ」という相場の格言は、5月から10月にかけて市場が低迷する、季節的な傾向を反映したものとなっている。
- 過去データでは、ビットコインは株式と同様の季節的なパターンを辿ることが多く、今後数ヶ月は浮き沈みおよび反落の可能性が示唆される。
直近のビットコイン(BTC)急騰を受け、トレーダーは数日中に10万ドルの水準に届くのを視野に入れている。しかし、この高揚感は特殊な5月という季節性により、短期間で終わる可能性がある。
BTSEのCOOであるジェフ・メイ(Jeff Mei)氏はCoinDeskへのTelegramメッセージで、「歴史的に見て、今後数ヶ月は金融市場は低調で、多くの投資家が『5月に売って、立ち去れ』という相場の格言に従っている」と述べた。
「とはいえ、ここ数ヶ月、市場は大幅にアンダーパフォームしていたが、今年はビットコインが9万7000ドルに達し、他の成長株もここ数週間で持ち直していることから、この傾向に逆行する可能性がある。先週発表された米国のGDP統計は弱く、来四半期のGDP成長率が再びマイナスになれば景気後退の兆候となるリスクを示唆する。一方で、利下げにより回復につながる可能性もあるだろう」とメイ氏は付言した。
「5月に売って、立ち去れ」という格言は、伝統的な金融市場において長年用いられてきた季節的な文句だ。
これは、株式市場が夏場にアンダーパフォームするのは、取引量の減少、機関投資家の活動の減少、そして過去のリターンデータの影響によるものだという考えに基づき、投資家は5月初旬に保有株を売却し、11月頃に市場に復帰すべきだと示唆するものである。
このフレーズの起源はロンドン証券取引所の創設期に遡り、元々は9月中旬の競馬に関係して「5月に売って立ち去れ、セント・レジャー・デイに戻ってこい」という意味だった。
データが示すもの
歴史的に、米国株式市場は11月から4月に比べて5月から10月にかけてパフォーマンスが低迷する傾向があり、一部の投資家にとって季節的な経験則となっている。
ビットコインもまた、マクロサイクル、機関投資家の資金流入、個人投資家のセンチメントに影響を受ける、周期的で季節性のパターンが示されている。CoinGlassのデータによると、ビットコインの5月のパフォーマンスは近年において、マイナスないし低調である。
2021年、ビットコインは35%下落し、この年の記録で最悪の月の一つとなった。2022年、5月は再びマイナスとなり、ルナ(Luna)の暴落を受けて15%下落した。2023年は横ばいから小幅なプラスとなり、ボラティリティが和らいだ。昨年5月は11%上昇し、2019年5月は52%上昇で終えている。これは、2018年のアルトコインのサイクルを経て暗号資産(仮想通貨)市場が成熟したと一般的に考えられている2018年以降、すべての月の中で際立ったパフォーマンスだ。
Coinglassのデータ(下図)によると、5月が赤字の場合は6月にさらに下落し、過去5回のうち4回は6月が赤字に至っている。

こうしたパターンは将来のパフォーマンスを保証するものではないが、暗号資産市場が株式市場と同様にマクロ経済や季節的なセンチメントに反応するようになっている可能性が示唆されており、特に機関投資家による資金流入が増えるにつれてその傾向が強まっている。
注意の兆候か
トレーダーは、過去における価格の季節性や第1四半期の力強い上昇後の勢いの衰えを踏まえ、慎重になる可能性がある。アルトコイン、特にミームコインは、近時の誇大的な宣伝に起因した上昇と投機資金の流入を考えると、特に反落の影響を受けやすい可能性がある。
「1950年以降、S&P 500は5月から10月まで平均わずか1.8%の上昇を記録しており、そのうち約65%でプラスのリターンを記録している。これは、11月から4月の好調なパフォーマンスを大きく下回っている」と、暗号資産取引所BitgetのCOOであるヴガール・ウシ・ザデ(Vugar Usi Zade)氏はCoinDeskに対してTelegramメッセージで述べた。
過去12年間、ビットコインの第2四半期(4月~6月)の平均リターンは26%だったが、中央値はわずか7.5%だ。これは、外れ値に引っ張られたパフォーマンスおよび継続的なボラティリティの兆候である。
第3四半期(7月~9月)になると、平均リターンは6%に低下し、中央値はわずかにマイナスに転じる。これは、第2四半期以降の投資家の飽きや疲れ、または調整局面のパターンを示唆していると、同氏はデータを挙げて付言した。
「こうした季節性の重なりは、5月に向けて注意が必要であることを示唆している。歴史的に、第4四半期はビットコインにとって最も強い季節性を示し、平均リターンは+85.4%、中央値は+52.3%となっている。一方、第3四半期はより穏やかな、またはマイナスの結果になる傾向がある」と同氏は述べる。
つまり、ウォール街のカレンダーが暗号資産に影響を及ぼすことはないものの、市場心理は依然としてナラティブに対して反応し、「5月に売れ」が自己実現的な予言となる可能性がある。特にテクニカル指標が崩れ、センチメントが反転した場合はその傾向が強まる。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Bitcoin Traders Brace for ‘Sell in May and Go Away’ as Seasonality Favors Bears