ビットコイン9万4000ドル超で推移──市場は米中貿易協議の進展を待つ
  • トレーダーが米中貿易協議の進展を待つ中、ビットコインは、9万4500ドルを上回る水準での横ばいで週のスタートを切った。
  • 主要アジア市場が休場となり、取引高は減少したが、人民元と地域通貨は上昇した。
  • ビットコインは9万3000ドルから9万5000ドルのレンジでレジスタンスに直面しており、このレジスタンスレベルを克服できれば10万ドルを超えるブレイクアウトが発生する可能性がある。

トレーダーがアメリカとの貿易協議の進捗状況に関する中国からのニュースを待つ中、ビットコイン(BTC)は9万4000ドル(約1363万円、1ドル145円換算)を上回る水準での横ばいで週のスタートを切った。

主要暗号資産のパフォーマンスを示す指標であるCoinDesk 20 Index(CD20)は1.5%下落し、2700を下回って推移している。

LVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクター、ニック・ラック(Nick Luck)氏はTelegramのメッセージでCoinDeskに対し、「エックス・アール・ピー(XRP)とビットコインは4月の関税ショックから回復したものの、まだ大幅な上昇には至っていない」と指摘。「ビットコインのトレンドが米株との相関性から脱却しているにもかかわらず、現在のアメリカのマクロ経済情勢が理由で、投資家が暗号資産(仮想通貨)などのリスク資産に対して過度に慎重になっている可能性がある」と述べた。

5日はアジアの主要市場が休場で、流動性が低く取引高が小さかった。香港や中国本土、日本、韓国が休場だった。

米中貿易関係の緩和の可能性がマクロ経済に関して大きな話題になった。週末には、中国商務省がアメリカの交渉再開提案を検討中だと発表し、トランプ大統領は中国が「取引を望んでいる」と示唆した。

ニック・ラック氏は、「現実資産(RWA)の立ち上げや暗号資産ネイティブなプラットフォームとの統合により、機関投資家による採用が深まり続けているため、暗号資産価格は長期的には新高値まで上昇すると引き続き楽観視している」と述べた。

しかし、ポリマーケット(Polymarket)で賭けを行うトレーダーは懐疑的だ。予測市場では6月までに貿易合意が成立する確率は21%、ホワイトハウスが5月末までに関税を引き下げる確率は47%とされている。

成立する可能性のあるこの貿易合意の詳細は不明瞭だったものの、市場は注目した。人民元は6カ月ぶりの高値である1ドル7.19元付近まで上昇し、地域通貨も上昇した。

目立った動きを見せたのは新台湾ドル(NTD)で、先週末には1ドル約29.6台湾ドルで2年ぶりの高値を付けた。

この急騰を牽引したのは、14億ドル(約2030億円)の外国からの株式市場への資金流入と、世界的半導体企業TSMCが四半期利益の60%増を報告したことを受けた台湾の技術セクターへの信頼感の高まりだ。台湾中央銀行はボラティリティ抑制のために介入したが、政治的圧力ではないと否定し、この動きは市場主導によるものだとしている。

ビットコインはレンジ相場?

グラスノード(Glassnode)の最新レポートによると、ビットコインの相対的な停滞をさらに悪化させているのは、主要なテクニカル水準とオンチェーン水準を試す中で大きなレジスタンスに直面していることだ。

レポートによれば、ビットコインは短期保有者のコスト基準と111日移動平均線の両方に一致する9万3000ドルから9万5000ドルのレンジを突破するのに苦戦しており、市場の勢いを左右する重要な局面となっている。

レポートは、「こうした水準は維持しなければならない重要な変曲点を示している。これらの水準を上回って安定できない場合、価格は再び値固めのレンジに押し戻され、多くの投資家が大きな未実現損失を抱えた状態に戻ることになる」としている。

しかし、10万ドルを超えると、その範囲内のビットコインの量が減少するため売り圧力は弱まる。ビットコインが9万5000ドルから9万8000ドル付近のレジスタンスを克服できれば、新たな価格発見、ひいては史上最高値更新に向けた比較的明確な道筋に入る可能性があるとレポートは指摘した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Hovers Above $94K as Market Awaits News on U.S.- China Trade Deal