ビットコインのドミナンス、FOMCを前に急上昇──ボラティリティ爆発をアナリストが予測
  • ビットコインは、9万5000ドル近辺で安定した価格レンジを維持。これは、イーサリアム、スイ、アプトスといった大型のアルトコインや伝統的な株式指数が小幅に下落したのとは対照的だ。
  • 7日のFRBの会合後にボラティリティが高まる可能性があると、アナリストは予測。
  • 永久スワップの資金調達率がマイナスとなった過去の期間に、買いの機会が生まれたことから、「積極的な現物へのエクスポージャー」をK33のヴェトル・ルンデ氏は支持。

ビットコイン(BTC)は6日、暗号資産(仮想通貨)市場での支配力を強め、ドミナンスが4年ぶりの高水準に急上昇した。これは、7日の米連邦準備制度理事会(FRB)の重要な政策会合を前に、暗号資産トレーダーが市場の基軸資産であるビットコインに資金を移動させたためだ。

ビットコインは9万4000~9万5000ドルのレンジで安定しており、過去24時間でわずか0.4%上昇し、週末から続く狭いレンジ内の取引パターンを継続している。

一方、市場全体を反映するCoinDesk 20(CD20)は0.7%下落し、イーサリアム(ETH)やスイ(SUI)、アプトス(APT)、ポリゴン(MATIC)といったネイティブトークンがベンチマークを押し下げた。

[CoinDesk 20 Indexのパフォーマンス(CoinDesk Indices)]

伝統的な市場を見ると、株式市場は連続して下落し、S&P 500とテクノロジーを中心としたナスダックは0.7~0.8%下落して取引を終え、ビットコインのパフォーマンスを再び下回った。

大きな値動きは見られないものの、ビットコインが暗号資産市場全体におけるシェアを拡大していることに注目が集まっている。TradingViewのデータによると、いわゆるビットコインドミナンスは65%を超え、2021年1月以来の最高水準を記録。これは、マクロ経済の不確実性に直面するなかで最もレジリエンスが高いとみなされる資産に、資金が集中していることを示唆している。

[暗号資産の時価総額全体に占めるビットコインのドミナンス(TradingView)]

LMAXグループ(LMAX Group)の市場ストラテジストであるジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は、現在の状況を「一時停止と期待の局面」と表現。「暗号資産市場は週明けの取引開始以降、概ね停滞しており、投資家が重要なカタリストを待つなかで価格は横ばい状態にある」と同氏は指摘。「この勢いは、関税関連の経済的影響に関する最新情報や、FRBが5月7日に予定している米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定など、伝統的な市場から生じる可能性がある」

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールによると、FRBは金利を据え置くと広く予想されているが、トレーダーは、リスク選好度に影響を与える可能性のあるジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長の姿勢の変化を警戒している。

ビットコインのボラティリティが急上昇の兆し

ビットコインの最近の価格動向が非常に横ばいとなっているなか、今後のFOMC会合は「大幅なボラティリティを引き起こすように仕組まれている」とK33のリサーチ責任者、ヴェトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏は述べた。同氏は6日のレポートで、ビットコインの短期的なボラティリティが「異常に圧縮されている」と指摘し、7日間平均は先週、563日ぶりの最低水準に低下した。

[ビットコインのボラティリティ(K33 Research)]

「ビットコインのこのような低ボラティリティ状態は、短命な傾向がある」とルンデ氏は述べた。「価格が動き始めると、レバレッジ取引が解消されてトレーダーが市場に再び参入するため、こうした安定のあとには通常、ボラティリティの激しい爆発が起こる」

永久スワップの資金調達率が継続的にマイナスであるため、連続的に大幅下落する可能性は低いとルンデ氏は語った。同氏は、同様の期間は歴史的に中長期投資家にとって良い買い場となっており、今後は「積極的な現物へのエクスポージャー」を支持すると付け加えた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:5月6日のビットコイン価格(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Dominance Soars Ahead of FOMC as Volatility Burst Looms, Says Analyst