ビザ、ブロックチェーン決済企業BVNKへの投資でステーブルコインにさらに肩入れ
  • ビザ(Visa)は、企業向けのステーブルコインベースの決済インフラに特化したスタートアップBVNKに戦略的投資を行った。
  • ロンドンを拠点とするBVNKは、年間120億ドル(約1兆7000億円、1ドル=143円換算)のステーブルコイン取引を処理しており、米国にも進出していると述べた。
  • この投資は、主流の金融会社が、より迅速で安価な決済手段としてブロックチェーンとステーブルコインを採用するという、より広範なトレンドを浮き彫りにするものである。

世界的な決済サービスプロバイダーであるビザのベンチャーキャピタル部門は、ステーブルコインをベースとした決済インフラを開発するスタートアップBVNKに戦略的投資を行った。伝統的金融機関がブロックチェーンを活用した資金の移動を推進していることを反映した動きである。

BVNKの共同創業者兼CEOのジェシー・ヘムソン-ストラザーズ(Jesse Hemson-Struthers)氏は5月7日のブログ投稿で、「グローバルな決済ネットワーク構築におけるビザの深い知見と、我々のステーブルコインインフラを組み合わせることで、今日のデジタル経済におけるビジネスの運営方法を再定義する強力な可能性が生まれる」と述べている。

BVNKの広報担当者は、投資取引が成立したことをEメールで認めたが、投資の規模については明らかにしなかった。

BVNKは、企業がグローバル市場でステーブルコイン(米ドルのような法定通貨にペッグされた暗号資産トークン)をやり取りできるようにするソフトウェアを開発している。

ロンドンを拠点とする同社は、すでに年間120億ドルのステーブルコイン取引を処理しており、最近ニューヨークとサンフランシスコにオフィスを構え、米国にも進出したと述べた。米国全州でライセンスを申請し、いくつかの州では承認を得ている。

今回の投資の背景には、金融におけるより広範なシフトがある。ブロックチェーンレールとステーブルコインは、送金、給与支払い、コマースなどの用途において、従来の手段に代わるより迅速で安価な選択肢を提供し、決済の中心的存在になりつつある。

グローバル企業は競ってこのトレンドに乗ろうとしている。決済大手のストライプ(Stripe)は、ブリッジ(Bridge)を11億ドルで買収し、ステーブルコインツールをテストしている。

ペイパル(PayPal)は独自のステーブルコインを導入し、ビザは銀行がステーブルコインやトークン化された資産を発行するのを支援するプラットフォームを開発した。

「ステーブルコインは急速に世界的な決済の流れの一部となりつつある。ビザは、顧客やパートナーにより良いサービスを提供するために、BVNKのような新しいテクノロジーやビルダーに投資し、コマースにおける次の流れの最前線にいる」と、ビザの成長商品およびパートナーシップの責任者であるルベイル・ビルワドカー(Rubail Birwadker)氏は述べた。

今回の投資は、ハウン・ベンチャーズ(Haun Ventures)やタイガー・グローバル(Tiger Global)を支援者とする昨年のBVNKの5000万ドルの資金調達ラウンドに続くものだ。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:CardMapr.nl/Unsplash
|原文:Visa Doubles Down on Stablecoins With Investment in Blockchain Payments Firm BVNK