ビットコインが順調に10万ドルを突破するとは限らないことを複数の要因が示唆
  • ビットコインは、米英間の大規模な貿易合意の噂を受けて、10万ドルに接近している。
  • ウォール・ストリート・ジャーナルは、貿易合意の発表は単なる暫定的な枠組みに過ぎない可能性があると指摘している。
  • コインベースプレミアムやRSIの乖離といった主要指標は、潜在的な抵抗と勢いの弱まりを示唆している。
  • オンチェーン分析では、9万9900ドルが重要な抵抗水準だと指摘している。

ビットコイン(BTC)は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が重大な貿易合意をほのめかしたことで、10万ドルの節目へ急速に接近している。報道によると、この合意はイギリスとの間で結ばれる可能性があるとされている。

価格の上昇は、この暗号資産(仮想通貨)の広範な上昇傾向を示すテクニカル分析と、伝統的な市場におけるリスク許容度の向上と一致している。現在、アジアの株式市場は上昇しており、S&P 500指数に連動する先物価格は0.6%上昇している。

しかし、いくつかの要因が10万ドル突破がスムーズではない可能性を示している。

WSJが楽観論に冷水をかける

まず、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、トランプ氏がトゥルース・ソーシャルで示唆した大規模な貿易合意は「関税調整を含む枠組み」に過ぎない可能性があるという。

つまり、間近に迫る発表は、数週間から数カ月後に貿易合意に至る議論の枠組みとなる可能性があり、BTCの楽観的な勢いは、初期の楽観が薄れるにつれて鈍化するかもしれない。

9万9900ドルの抵抗線

今週初めに議論されたように、9万9900ドルは、今年初めにこの水準付近でコインを購入した投資家からの売り圧力や、長期保有者による利益確定売りが増加する可能性から、突破が難しい水準となる可能性がある。

コインベースプレミアム

コインベースプレミアム指標は、取引所のコインベース(Coinbase)でのBTCのドル建て価格とバイナンス(Binance)でのテザー(USDT)建て価格の差を測定するもので、アメリカの投資家の需要の指標として広く利用されている。

過去には、BTCの持続的な上昇局面はコインベースプレミアムの上昇と一致していた。

しかし、4月下旬以降、コインベースプレミアムの7日移動平均は価格と逆行する下落傾向を示している。

[ビットコインのコインベースプレミアム。:CryptoQuant]

弱気なRSIダイバージェンス

BTCはアジア取引時間中に数週間ぶりの高値を更新したが、モメンタムや買われ過ぎ・売られ過ぎの状態を測る指標である14時間相対力指数(RSI)はそれに追随しなかった。

結果として生じた弱気なダイバージェンスは、モメンタムが弱まっている可能性を示唆している。

[ビットコインの価格とRSI。:Velo Data/TradingView]

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:What’s Next for Bitcoin With Crypto Market Cheering Trump’s Trade Deal Hype?