
- CoinbaseがDeribitを現金と株式をあわせて29億ドルで買収、暗号資産デリバティブ市場に本格的に参入する。
- 競合のKrakenとの数カ月にわたる買収合戦を繰り広げた。KrakenはNinjaTraderを15億ドルで買収する。
- Deribitの2024年の取引高は1.2兆ドル、暗号資産オプション市場で圧倒的な存在感を持つ。
米暗号資産(仮想通貨)取引大手Coinbase(コインベース)は5月8日、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のオプション取引に特化したDeribit(デリビット)を29億ドル(約4200億円、1ドル144円換算)で買収することに合意したと発表した。高収益が見込まれる暗号資産デリバティブ市場に本格的に参入する。
Deribitをめぐって、競合のKraken(クラーケン)と数カ月にわたって買収合戦を繰り広げ、ブルームバーグはDeribitの買収価格が40〜50億ドルに達する可能性があると報じていた。
一方、Krakenは米先物取引プラットフォームNinja Trader(ニンジャ・トレーダー)を15億ドル(約2200億円)で買収し、米国での先物取引とデリバティブの提供でCoinbaseと戦う体制を整えた。
米国の暗号資産業界ではM&Aが活発化している。各社はトランプ米大統領が「暗号資産の首都」と位置づける米国でのポジション確立を目指している。
今回の買収は、業界最大級の買収となった。Benchmarkのアナリスト、マーク・パルマー(Mark Palmer)氏は、この買収は「デジタル資産の機関投資家への普及拡大が期待されるなか、同社に高成長のデリバティブ市場において、即座に支配的な地位を確立させるもの」と指摘した。
Deribitは2016年設立、デジタル資産オプション取引の市場シェアを短期間で拡大してきた。同社は1月、2024年の取引高は1.2兆ドル(約170兆円)、前年比95%増を記録したと発表していた。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Coinbaseのブライアン・アームストロングCEO(CoinDesk)
|原文:In $2.9B Deal, Coinbase Buys Deribit to Expand in U.S. Crypto Options Market