
ドイツ当局は暗号資産(仮想通貨)取引所のeXchを閉鎖し、3800万ドル(約55億1000万円、1ドル=145円換算)相当のトークンと8テラバイトを超えるデータを差し押さえた。
同プラットフォームは、バイビット(Bybit)のハッキング事件やジェネシス(Genesis)の債権者からの盗難事件を含む大規模な暗号資産流出事件に関与した疑いが持たれている。
捜査当局は、eXchが19億ドル(約2755億円)を超える暗号資産取引を仲介したと推定しており、その大部分が犯罪の収益だとみられている。
ドイツ当局は、暗号資産ロンダリングの疑いのある企業を対象とした同国最大規模の法執行措置としてeXchを閉鎖し、3800万ドル相当のトークンと8テラバイトを超えるデータを差し押さえた。
5月8日に発表された声明によると、フランクフルト地方検察庁と連邦刑事庁(BKA)は、プラットフォームの運営者が閉鎖を予定していた前日の4月30日に、eXchのサーバーインフラを解体した。
当局は、同プラットフォームが主要なハッキング事件で盗まれた暗号資産の資金洗浄に利用された疑いがあると指摘している。具体的には、15億ドル(約2175億円)のバイビットハッキング事件、2億4300万ドル(約352億3500万円)のジェネシス債権者からの窃盗事件、および複数のフィッシング詐欺が含まれている。
同プラットフォームは「犯罪地下経済のプラットフォーム上で、資金洗浄対策を実施していないと明言していた」と声明で指摘されている。「ユーザーはサービス利用に身分を明かす必要がなく、ユーザーデータも保存されていなかった。そのため、eXchを通じた暗号資産の交換は、資金の流れを隠蔽するのに特に適していた」という。
この取り締まりは、2014年から「eXch.cx」などのドメインで運営されてきたeXchが、意図的にマネーロンダリング対策を無視し、利用者の本人確認要件を設けず、ダークネットフォーラムで匿名かつ高速な暗号資産ミキシングサービスとして自らを宣伝してきたという長年の疑惑を受けて行われたものだ。
このサービスは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ダッシュ(DASH)の交換を登録不要でサポートしていた。
当局は、eXchが運営していた期間に19億ドルを超える暗号資産が流通し、その大部分が犯罪の収益だと推測している。
今回の摘発は、ChipMixer、Sinbad、Hydraなどのサービスに対する同様の取り締まりなど、過去2年間にわたってヨーロッパにおける違法暗号資産インフラに対する規制当局の執行措置が拡大する中で行われた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Germany Seizes $38M From Crypto Platform Suspected of Laundering Bybit, Genesis Hack Proceeds