トランプ一家が支援するステーブルコイン「USD1」、複数のブロックチェーンで利用可能に──チェーンリンクのCCIP活用【Consensus 2025】
  • ワールド・リバティ・ファイナンシャルのステーブルコイン「USD1」は、チェーンリンクのクロスチェーン相互運用プロトコル(CCIP)を通じて、複数のブロックチェーンで利用可能になった。
  • USD1は利用が拡大しており、時価総額は20億ドルに達した。
  • CCIPの活用は、これまでユーザーに数十億ドル規模の損失をもたらしてきたクロスチェーン・セキュリティにおける脆弱性への対策となる。

トランプ一家が支援する暗号資産ベンチャー「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLFI)」が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「USD1」が、Chainlink(チェーンリンク)のクロスチェーン相互運用プロトコル(CCIP)とのインテグレーションによって、複数のブロックチェーンで運用可能になった。両社が16日、「Consensus 2025」で発表した。

ステージには、チェーンリンクの共同創業者セルゲイ・ナザロフ(Sergey Nazarov)氏とトランプ大統領の子息であるエリック・トランプ(Eric Trump)氏が登壇した。

時価総額20億ドルに成長

USD1は発行以来急成長しており、時価総額は20億ドル(約2900億円、1ドル145円換算)に達している。USD1は、バイナンス(Binance)に対するMGXの20億ドルの投資にも利用されたという。

ただし、時価総額から見ると、1510億ドルのテザー(Tether)社のUSDTや、606億ドルのサークル(Circle)社のUSDCにはまだ及ばない。

USD1は、ビットゴー・トラスト(BitGo Trust)が保管する米短期国債および法定通貨からなる準備金で裏付けられている。これまでは特定のブロックチェーンでの運用にとどまっていたが、今回のCCIPインテグレーションによって、複数のブロックチェーン間を自由に移動できるようになる。

まず、イーサリアム(Ethereum)とBNB Chainに対応し、今後さらに多くのブロックチェーンへの対応が予定されている。

クロスチェーン・セキュリティを強化

両社によると、インテグレーションは、ステーブルコイン市場における長年の課題──クロスチェーン・セキュリティ──への取り組みを目的としている。

クロスチェーン・ブリッジの脆弱性から、これまでにユーザーが被った被害額は約30億ドルにのぼるという。

ワールド・リバティ・ファイナンシャルの共同創業者ザック・ウィトコフ(Zach Witkoff)氏は、「チェーンリンクの実績あるインフラは、USD1を増え続けるオンチェーン・エコシステム上の数百万人に届けるために必要な機関投資家レベルのセキュリティと広範なリーチを提供する」と述べた。

同じく共同創業者のザック・フォークマン(Zak Folkman)氏は、「チェーンリンクは、我々が創業当初から掲げてきたミッションである伝統的金融と分散型金融を融合を実現するうえで極めて重要なものだ」と述べた。

「DeFiが独立したエコシステムとして存在し、伝統的金融が別の道を進んでいく世界は、我々には考えられない。極めて近い将来、両者は融合し、まさに金融の未来になると信じている。その目的のために、ワールド・リバティ・ファイナンシャルとそのUSD1は、今、クロスチェーン互換性を実現したCCIPの素晴らしいチームによってチェーン超えたブリッジが可能になった」

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:チェーンリンクの共同創業者セルゲイ・ナザロフ氏とエリック・トランプ氏(CoinDesk)
|原文:World Liberty’s Stablecoin Now Available on Multiple Networks Via Chainlink