
- 5月19日、アメリカのビットコイン現物ETFは6億6740万ドルの純流入を記録し、5月2日以来の最高額となった。これは、iシェアーズ・ビットコイン・トラストETFに3億600万ドルが流入したことが主な要因だ。
- こうした投資家の関心は、ビットコイン価格が10万ドルを上回る状態が続いていること、およびベーシス取引の利回りが9%に近づいていることが牽引役となり、先物取引の増加や機関投資家の再参入を促していると考えられる。
アメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)は、5月19日に6億6740万ドル(約967億7300万円)の純流入を記録し、5月2日以来の単日最大を記録した。これは機関投資家による関心の再燃を示している。ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)のデータによると、これらの流入額のほぼ半分に当たる3億600万ドル(約443億7000万円)は、iシェアーズ・ビットコイン・トラストETF(IBIT)に流入し、同ファンドの純流入額は459億ドル(約6兆6555億円)に達した。
この需要の回復は、ビットコインの価格が10万ドルを11営業日連続で上回る強いパフォーマンスを示し、市場信頼の回復に寄与したことが背景にある。
さらに、年率換算ベーシス取引、つまり現物ETFでロングポジションをとり、同時にシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物でショートポジションをとる戦略は、利回りが9%に近づき、4月のほぼ2倍に達したことで、ますます魅力的になっている。

Veloのデータによると、これを受けてCME先物での取引活動の増加が見られるなど、ベーシス取引の活動が緩やかに増加していることが示されている。
19日にCME先物取引高は84億ドル(約1兆2180億円、約8万BTC)に達し、4月23日以来の最高水準を記録した。一方、未決済建玉は15万8000BTCで、4月の安値から3万BTC以上増加し、レバレッジ戦略やアービトラージ戦略への需要が高まっていることを示している。
ただし、先物取引高と未決済建玉残高は、ビットコインが1月に10万9000ドルの史上最高値を記録した際のレベルを依然として大幅に下回っており、さらなる成長の余地が依然として大きいことを示している。
ベーシス(先物と現物の価格差)の上昇は、成長がすでに始まっている可能性を示唆しており、今年初めにベーシスが5%未満に低下した際に市場を離れたプレイヤーが戻ってきている可能性がある。
最近の「フォーム13F」によると、ウィスコンシン州の年金基金は第1四半期にETFのポジションを解消した。これは、当時の不利なベーシス取引環境に対応した措置とみられる。ただし、13Fのデータは四半期遅れて公表され、ベーシススプレッドはその後、5%からほぼ10%に拡大しているため、第2四半期に市場に再参入し、改善したアービトラージの機会を活かしている可能性もある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin ETF Inflows Surge as Basis Trade Nears 9%, Signaling Renewed Demand