ビットコインは史上最高値付近で足踏みするも、「実現価格」分析は楽観的な見通し
  • ビットコインの2025年のいわゆる実現価格は9万3266ドルで、ビットコインは現在、10万5000ドルで取引されているため、平均的な投資家は12%の含み益を抱えており、収益性の回復を示唆している。
  • 過去のパターンを見ると、実現原価を下回る価格への下落は、2024年1月の現物ETF(上場投資信託)登場後の暴落や2024年8月の暴落に見られるように、周期的な安値と一致することが多い。

2017年の2万ドル、2021年の6万9000ドル、今年の10万9000ドルといった記録的な高値は、見出しや手っ取り早い比較にはもってこいだが、実際には値動きを説明するのには適していない。

「実現価格」、つまりビットコイン(BTC)が全取引所から引き出された時の平均価格を追跡することで、市場全体の取得原価を推定することは、投資家の収益性と潜在的な市場心理の変曲点を測定するための、より価値のあるツールである。

チャート(上と下)は、2017年から2025年までの各年の1月1日から市場に参入した年ごとに区分した、さまざまな投資家グループの平均引き出し価格を示している。

2025年これまでの平均実現価格は9万3266ドル。ビットコインは現在、10万5000ドルで取引されており、これらの投資家は平均で約12%の含み益を抱えている。

1月下旬にビットコインが史上最高値の10万9000ドルから下落を始めたとき、一時的に2025年の実現価格を割り込んだ。これは歴史的に、キャピチュレーション(降伏:全面的な投げ売り)のサインである。このストレス期間は4月22日まで続き、その後価格は実現価格まで回復した。

歴史的背景: キャピチュレーションパターン

歴史的に、価格が実現価格を下回るときは、市場のキャピチュレーションや周期的な底値を示すことが多い。

2024年: 1月の現物ETFローンチ後、ビットコインは実現価格を下回った後、反発。夏には、さらに大規模なキャピチュレーションが続き、円キャリートレードの解消と連動して、ビットコインは4万9000ドルまで急落した。

2023年:サポートレベルの間、価格は実現価格に近い水準で推移し、下回ったのは、3月のシリコンバレー銀行危機の際に一時的に割り込んだ時のみであった。

データは、キャピチュレーションが発生し、市場がより建設的な局面を迎える準備を整えた可能性が高いことを示唆している。歴史的には、このような状況からの回復は、より健全な市況への移行を意味する。

ビットコインの年別取引所平均引出価格(Glassnode)

実現価格の上昇から見えてくること

2017年の強気相場でビットコインが初めて2万ドルを突破したとき、市場価格とわずか5149ドルの実現価格との間に大きな乖離が生じ、高揚した投機の局面が浮き彫りになった。当然のことながら、その直後、価格は残酷な反落に転じた。

対照的に、ビットコインが3200ドル付近で底を打った2018年の弱気相場の最も深刻な時期に、その時点の価格は、サイクルを超えたすべての投資家の取得原価を集約した指標である通算実現価格に収束した。

この長期的な取得原価は、弱気相場における基礎的なサポート水準として機能し、新たな資本が市場に参入するにつれて時間の経過とともに徐々に上昇する。

したがって、例えば2021年の6万9000ドルから2025年の10万ドル強までといったサイクルのピークを比較することのみでビットコインを評価することは、全体像を見誤ることになる。

より適切な洞察は、すべての投資家の通算取得原価が上昇し続けていることであり、資産の長期的な成熟とネットワークにコミットする資本の厚みが増していることを浮き彫りにしている。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ビットコインの年別取引所平均引出価格(Glassnode)
|原文:Bitcoin Falters Near Record, but ‘Realized Price’ Analysis Suggests Optimistic Outlook