アスターにアニモカブランズが出資、IP特化ファンド構想も浮上

日本発のパブリックブロックチェーンAstar Network(アスターネットワーク)は5月21日、ブロックチェーンゲームおよびデジタルプロパティ権の分野で活動するAnimoca Brands(アニモカブランズ)から戦略的出資を受け、パートナーシップを締結したことを発表した。

この提携は、アスターネットワークが日本およびアジア発の知的財産(IP)をオンチェーン化し、新たなエンターテインメント体験を提供する基盤としての役割を強化することを目的としている。

「Anime ID」と「Anime Art Fest」

具体的にはアスターネットワークは、このパートナーシップから「Anime ID」と「Anime Art Fest」という二つの主要プロジェクトを始動させる 。

アニモカブランズのMoca Networkが支援する「Anime ID」は、ソニーグループのブロックチェーン「Soneium」上におけるアイデンティティおよびレピュテーション(評判)レイヤーとして機能し、Web2ユーザーのWeb3へのスムーズなオンボーディングを促進するという。

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また、ブロックチェーンを活用したエンターテインメント体験の提供機会を広げ、IPホルダーの権利強化を目指す「Anime Art Fest」も重要なプロジェクトとして計画されている。

アスターネットワークのネイティブトークンであるASTRは、これらのエコシステムにおいて流動性供給、エンゲージメント促進、開発者インセンティブ提供の基盤となる。

Web3投資のアニモカブランズ

Web3投資企業としても知られる香港拠点のアニモカブランズは、2021年のNFTブームで注目を集めて以来、ブロックチェーンゲームのAxie InfinityやNFTマーケットプレイスのOpenSeaなど、Web3分野の主要なプロジェクトに投資を行ってきた 。投資実績は540件以上に及ぶ。なお、子会社としてAnimoca Brands Japanがある。

最近では、同社のヤット・シウ(Yat Siu)会長がメディアインタビューで、暗号資産に友好的なトランプ政権を好機と捉え、上場計画を表明したことも話題となった。

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一方、アスターネットワークは渡辺創太氏が率いる日本発パブリックブロックチェーンとして知られ、「Soneium」のメインネットローンチを契機にイーサリアムエコシステムへ進出した。

今回のアニモカブランズによる出資は、単なる資金提供に留まらず、Web3エンターテインメント分野における長期的な成長を見据えた戦略的パートナーシップとされている。

今後、アスターネットワークとアニモカブランズは、エンターテインメントおよびIP領域に特化したファンドの立ち上げを含む、ユーザー拡大とエコシステム強化に向けた複数の施策を検討していく方針だ。この構想には既に複数の機関投資家からの関心が寄せられているという。

|文:栃山直樹
|画像:リリースから