
- 上場マイニング企業は4月、マイニングした量を上回るビットコインを売却し、2022年以来の売り越し比率を記録した。
- クリーンスパーク(CleanSpark)、IREN、Cangoがハッシュレートを拡大する一方、ASICの取引条件はマイナーに有利にシフトし始めている。
- ビットコインが史上最高値を更新しても、ハッシュプライスには依然として厳しい圧力がかかっている。
ビットコイン(BTC)は5月21日、10万9000ドルを超えて史上最高値を更新したが、マイニング関連のニュースを手がけるTheMinerMagによると、先月記録的な量の保有ビットコインの現金化を余儀なくされたビットコインマイナーにとっては、小さな慰めだ。
TheMinerMagの最新調査レポートによると、上場マイニング企業は4月、ビットコイン生産量の115%を売却した。つまり、生産量を売却量が上回ったのだ。これは、2022年の弱気市場の終盤以来、最も高い比率である。
ビットコインが10万9000ドルを超えて史上最高値を更新した21日でさえ、ハッシュプライス(マイナーが計算能力1単位あたりで稼ぐ金額)は追随できていない。
ハッシュプライスはペタハッシュ毎秒(PH/s)わずか55ドルで、前回ビットコインが10万ドルを超えた12月に一時的に達した63ドル/PH/sを大きく下回っている。ネットワーク難易度の上昇と取引手数料の低迷が収益を圧迫している。
マイニング分野のトッププレーヤーは、それでも拡大を続けている。クリーンスパークのハッシュレートは40EH/sを突破した。最近ライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)を抜いて実現ハッシュレートで第3位のパブリックマイナーとなったIRENは、ハッシュパワーで25%の急上昇を記録し、現在6月までに合計50EH/sを目標としている。一方、Cangoは7月までにさらに18EH/sを目標としている。
投資銀行ジェフリーズ(Jefferies)の5月20日のレポートによると、マラ・ホールディングス(MARA Holdings)のインストール済みハッシュレートは57.3 EH/sで、依然として最高である。
IRENのインプライド稼働率は約97%と最も高く、次いでHIVEデジタル・テクノロジーズ(HIVE Digital Technologies)の約96%であったと、同レポートは付け加えた。
一方、マイナーが新しいハードウェアを確保する方法にも変化が起きている。複数の上場企業がビットメイン(Bitmain)と契約を結び、マイニング機器の代金をビットコインで支払う一方、あらかじめ決められた価格でビットコインを買い戻す権利を保持することで、さらなる価格上昇に対するヘッジを図っている。
第1四半期に打撃を受けたマイニング株は持ち直し、4月だけで60%以上回復した銘柄もあるが、ほとんどの銘柄は年初来からは下落している。年初来プラス圏にあるのは、クリーンスパークとマラ・ホールディングスだけである。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Miners Sold Record Amount of BTC Ahead of May’s Price Surge