暗号資産市場、約430億円の清算──トランプ関税の脅威が強気を一掃
  • 3億ドル(約430億円、1ドル=143円換算)以上のレバレッジをかけた暗号資産(仮想通貨)ポジションが、トランプ関税の脅威の後に清算されたことがコイングラス(CoinGlass)のデータで分かった。
  • トランプ関税提案後、ビットコインと主要アルトコインは3%から4%下落した。
  • ハイパーリキッド(Hyperliquid)のトレーダー「ジェームズ・ウィン(James Wynn)」は、11億ドルのビットコインロングポジションを開始したことで話題となったが、現在は750万ドルの含み損を抱えている。

安定したビットコイン(BTC)のラリーに賭けた暗号資産トレーダーたちは、トランプ関税の新たな脅威によるヘッドラインリスクを思い知らされた。

コイングラスのデータによると、トランプ関税に関する最新のニュースを受けて暗号資産価格が急落したため、過去4時間に3億ドル以上のレバレッジをかけたデリバティブポジションが中央集権型取引所で清算された。

ほぼすべての清算は、価格上昇に賭けるトレーダーのロングポジションで行われた。ビットコインのロングは全体の1億700万ドルを占め、イーサリアム(ETH)が8700万ドル近くで続いた。ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)、スイ(SUI)は1000万ドルから1800万ドルの清算を記録した。

デジタル資産全体での清算(CoinGlass)

「ロングレバレッジとスポットからのリスク回避の売りが見事に集約されている」と、多くのフォロワーを抱える暗号資産トレーダーSkew氏は5月23日の早い時間にXの投稿で指摘し、次のように続けた。「すべては再び、ヘッドラインによって引き起こされた」。

トランプ米大統領が来月から、欧州連合(EU)からの輸入品に50%の関税をかけ、米国外で製造されたiPhoneにも25%の関税をかけると提案し、貿易戦争激化の懸念が再燃したことから売りが出た。

その結果、ビットコインや主要アルトコインであるイーサリアム、エックス・アール・ピー(XRP)、カルダノ(ADA)は3%から4%下落し、ユニスワップ(UNI)、スイなどの小規模コインは過去24時間で5%から7%下落した。

最近、取引所のハイパーリキッドでレバレッジ40倍で11億ドルのビットコインロングポジションを開始し注目を集めたジェームズ・ウィンという暗号資産トレーダーも、巨額のポジションで含み損を抱えた。

現在、このトレーダーは750万ドルの含み損を抱えており、Xでシェアされたスクリーンショットによれば、ビットコインが10万2000ドルまで下落すれば、ポジションは清算される可能性がある。

興味深いことに、ロングの清算は、記録的な価格にもかかわらず、ビットコインデリバティブが最近、ショートポジションに異常に傾いていると、CoinDeskが22日に報じていた中で行われた。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:noamgalai / Shutterstock.com
|原文:Crypto Market Sees $300M Liquidations as Trump Tariff Threats Flush Late Bulls