ビットコイン、11万ドルへ反発──関税延期でセンチメントが回復
  • トランプ大統領のEUに対する関税措置の脅威により週末に売り注文が殺到したビットコインは、11 万ドルへと反発した。
  • 貿易摩擦の一時的な緩和が回復を後押しし、アメリカおよびヨーロッパの株価指数先物は上昇した。
  • カルダノとドージコインが主要トークンの上昇を牽引し、世界的なリスク資産全般の安堵感を反映した。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の突然の関税導入による欧州連合(EU)への威嚇を受け、週末に乱高下したビットコイン(BTC)は、5月26日月曜日に11万ドルへと反発した。

関税発表の後の貿易摩擦の一時的な緩和が暗号資産(仮想通貨)の回復に寄与した。トランプ大統領は、ヨーロッパからの輸入品に対する50%の関税措置の期限を7月9日まで延長し、週明けの取引開始前にアメリカとヨーロッパの指数先物は上昇した。

カルダノ(ADA)とドージコイン(DOGE)は、過去24時間で3%上昇し、トップ10のトークンの中で最大の伸びを示した。この反発は、世界的なリスク資産全体の安堵感を反映している。アメリカとヨーロッパの株式先物は1%以上上昇し、ドルは数カ月ぶりの安値まで下落、ゴールド(金)や米国債などの安全資産の需要は若干低下した。

週末にビットコインは、トランプ大統領がEU製品と海外で製造されたアップルのiPhoneに高額の関税を課すと表明したことに反応し、11万1000ドルを上回っていた価格が10万8600ドルまで急落した。

これにより、リスク回避ムードが高まり、暗号資産市場全体で5億ドル(約700億円、1ドル=140円換算)を超えるロングポジションの清算が発生し、ビットコイン、イーサリアム(ETH)、カルダノ、ソラナ(SOL)、ドージコインに関連する先物も大幅な損失を被った。

しかし、26日月曜日の早朝にトーンが変化した。「先週末の急落は、暗号資産がマクロ経済のショックでいかに急速に下落するかを示した」とBTSEのCOO、ジェフ・メイ(Jeff Mei)氏はテレグラムのメッセージで述べた。

「他方、関税期限の延長が迅速に決定されたことは、最悪期は過ぎたという信念を強化している。トレーダーは慎重に買い戻しを再開している」とメイは付け加えた。

オプションの動向は、楽観的な雰囲気が戻りつつあることを示している。シンガポールを拠点とするQCPキャピタル(QCP Capital)は24日のブロードキャストメッセージで、リスク選好度が再び高まっていることを指摘し、9月の行使価格13万ドルのBTCコールオプションが1000枚買われていると述べている。

同社は「中期的には建設的な環境が整っている」とし、ETF(上場投資信託)への継続的な資金流入、アメリカの規制の進展、ストラテジー(Strategy)の追加ビットコイン購入のための2億1000万ドル(約294億円)の資金調達を含む機関投資家の継続的な需要を理由に挙げた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Regains $110K After Weekend Sell-Off; ADA, DOGE Lead Uptick in Crypto Majors