ビットコインの上昇、11万ドル弱で停滞──短期保有者が約1兆6300億円の利益確定
  • ビットコイン(BTC)は祝日の穏やかな取引で10万9000ドルまで小幅に下落し、短期的な売り圧力にもかかわらず先週の記録的な高値付近を維持した。ユニスワップ(UNI)、チェーンリンク(LINK)、アバランチ(AVAX)がCoinDesk 20 Indexの上昇を牽引した。
  • ビットフィネックス(Bitfinex)のアナリストは、ビットコイン短期保有者が過去1カ月で114億ドルの利益を得るなど、利益確定売りが増加し、ラリーが失速する一因となったと指摘した。
  • ビットフィネックスは、ETFへの資金流入とボラティリティの低さが長期的な強さを示唆しているものの、新たな資本が利益確定売りを相殺しない限り、ビットコインはさらに保ち合いを続ける可能性があると述べた。

週末に小幅に上昇したビットコインは、メモリアルデーのため米国の伝統的市場が休場となった5月26日、低調な取引で10万9000ドルまで後退した。

ビットコインは過去24時間では1.7%上昇し、先週記録した史上最高値まであと一歩のところにいる。

CoinDesk 20 Index(ステーブルコイン、ミームコイン、取引所コインを除く時価総額上位20のデジタルコインのインデックス)を見ると、26日の勝者は分散型取引所ユニスワップ(Uniswap)で、UNIトークンは6.6%上昇した。チェーンリンクとアバランチもそれぞれ、3.3%と3.4%上昇した。

トランプ政権が対EU関税の期限を延長したことで、夜間にかけて上昇が起こった。トランプ米大統領は25日、6月1日に発効すると23日に発表したことで、暗号資産(仮想通貨)を含むリスク資産の売りを引き起こしたEU製品への50%関税の発動を7月9日まで延期すると発表した。欧州株は当初、関税の脅しに動揺していたが、このニュースを受けて反発した。

短期保有者の利益確定売りが強まる

暗号資産市場は週末の下落の一部を取り戻したが、ビットコインはトレーダーが4月の安値から約50%の急騰を消化するにつれ、不安定な局面に入った可能性が高いと、暗号資産取引所ビットフィネックスのアナリストは26日のレポートで述べた。

短期保有者による利益確定の動きが強まり、ビットコインの短期的な上昇に歯止めがかかる可能性もある。短期保有者は、過去30日間の累積利益で114億ドル(約1兆6300億円、1ドル=143円換算)を達成したのに対し、それ以前の30日間は12億ドルであったという。

「このレベルでは、利益確定が新たな需要流入を上回るリスクがある」と、ビットフィネックスのアナリストは指摘し、次のように続けた。

「この供給を吸収するために、市場に新たな参入する資本が増加しない限り、価格は失速し始めるか、あるいは後退するかもしれない」。

「10万6000ドルへの下落がレンジの安値となったのか、それとももっと大きなリセットが控えているのかを測るには、今後数日間が鍵となるだろう。より大幅な反落となった場合、短期保有者の平均購入価格(実現価格)である9万5000ドル付近が注目すべきキーレベルとなる」。

ビットコイン短期保有者の実現価格(Bitcoin Magazine Pro/Bitfinex)

米国のビットコイン現物ETFへの資金流入が旺盛で、5月までに合計53億ドルに達していること、ボラティリティが低いこと、フロスがないことから、ビットコインは一時停止した後、今年第3四半期に上昇トレンドを再開する可能性が高いと、ビットフィネックスのアナリストは主張した。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:5月26日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Rally Stalls Below $110K as Short-Term Holders Take $11B Profits