DOGEとXRPが下落──米インフレデータ発表を控え、暗号資産の利益確定売りが続く
  • トランプ大統領がヨーロッパからの輸入品に対する関税を50%に引き上げることを提案し、市場にボラティリティを引き起こした。
  • ビットコイン価格は一時的に下落したが、トランプ大統領がEUに対する新たな関税措置を7月9日まで延期したことを受けて反発した。
  • トレーダーたちは、アメリカ連邦準備制度理事会の重要なインフレ指標であるコアPCEを注視している。

ビットコイン(BTC)は過去24時間で1%しか下落しなかったが、エックス・アール・ピー(XRP)とドージコイン(DOGE)はともに2.5%下落し、堅調な回復というよりは、やや鈍い回復を示した。

先週後半、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が、ヨーロッパからの輸入品に対する関税を、これまで議論されていた20%から50%に引き上げることを提案し、市場は大きな衝撃を受けた。

ハッシュキー・グループ(HashKey Group)のチーフアナリスト、ジェフリー・ディン(Jeffrey Ding)氏はテレグラムのメッセージでCoinDeskに対し、「ビットコインの反発は、週末に市場の下落を引き起こしたEUに対する新たな関税の引き上げをトランプ大統領が延期することを決定した後に起こった」と述べた。

「トレーダーたちは、こうしたマクロ経済的な出来事を、安定化につながる歓迎すべき動きと捉えており、特にストラテジー(Strategy)のマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏がビットコインの購入をほのめかしたことから、リスクテイクのセンチメントが高まっている」とディン氏は付け加えた。

トランプ大統領が、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長との「建設的な電話会談」を理由に、新たな関税の施行を7月9日まで延期すると発表した後、5月26日の市場は若干落ち着きを取り戻した。

それでも、シンガポールを拠点とするQCPキャピタル(QCP Capital)は、26日夜遅くのマーケットブロードキャストで、この出来事は、政策によるショックが市場の平静をいかに急速に崩す可能性があるかを再認識させるものだと警告した。

ビットコインの7月と6月のインプライド・ボラティリティ・スプレッドは、先週は2を超える急上昇を見せたが現在は1未満まで縮小している。これは、トレーダーが新たなデッドラインを控え、さらなる転換を注視していることを示唆している。

このボラティリティ・スプレッドは、7月と6月のビットコインオプションの予想ボラティリティの差を示し、トレーダーが7月の価格変動を6月と比べてどれだけ大きく(または小さく)予想しているかを示す。

QCPは、注目は今週発表予定のコアPCE指数に集まっていると指摘した。この指数は、変動の大きい食品とエネルギーの価格を除いたインフレ率の指標で、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを評価し政策決定を行う際の主要な指標とされている。

不確実性にもかかわらず、現物ETF(上場投資信託)の資金流入は安定しており、ブラックロック(BlackRock)のIBITは30日連続で純流入を記録している。これは、極めて稀な連続記録で、機関投資家の強い関心を示している。

それでも、暗号資産(仮想通貨)の回復力は相対的なもので、絶対的なものではない。QCPは、TQQQ(ナスダック100指数連動3倍レバレッジETF)などの伝統的なテック関連商品で資金流入が慎重になっている一方、暗号資産が持ちこたえている点に乖離があると指摘する。

「政策決定が不安定な世界において」、QCPは「暗号資産はますます『大人の対応』を見せているようだ」と述べた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Dogecoin, XRP Slump as Crypto Profit-Taking Continues Ahead of Friday’s Inflation Data