- ビットコインはトレーダーたちが新たな高値を予想する中、10万9000ドル付近で安定的に推移した一方、イーサリアムは機関投資家の活動増加を受けて、一時3%以上上昇した。
- 米国株式はメモリアルデー後の取引で急騰し、ナスダックが2%上昇したことや貿易摩擦の緩和が背景となった。
- イーサリアムの4億2500万ドルの財務イニシアチブはビットコインの戦略を模倣しており、暗号資産が長期準備資産としての役割を担っていることを示している。
ビットコイン（BTC）は5月28日早朝、トレーダーが今後数カ月で新たな高値更新に期待を寄せる中、10万9000ドル付近で横ばいとなった。イーサリアム（ETH）の長期戦略への信頼感の高まりと機関投資家の幅広い動きを受け、ETHは3%以上上昇した。
メモリアルデーの後、米国株は急伸した。ナスダックは2%の上昇を記録したが、これは投資家が労働市場への懸念を一蹴し、貿易摩擦の緩和に楽観的な見方を示したためだ。
米国債利回りの安定と中国-アメリカの間の海上輸送の混乱緩和に支えられたこの反発は、資産クラス全体でリスク選好を再燃させている。
「ボラティリティの急上昇により、従来の安全資産が揺らいだ後、機関投資家は暗号資産（仮想通貨）への資金配分をますます増やしている」と、ハッシュキー・エコ・ラボ（HashKey Eco Labs）のCEOであるケイ・ルー（Kay Lu）氏は述べた。「ストラテジー（Strategy）のビットコインへのアプローチを反映したイーサリアムの新たなトレジャリー・イニシアチブは、暗号資産がWeb3エコシステムの長期準備資産になりつつあることを示している」。
イーサリアムの共同創業者であるジョセフ・ルービン（Joseph Lubin）氏と開発ラボのコンセンシス（ConsenSys）は、上場企業であるシャープリンク（SharpLink）の4億2500万ドル（約616億2500万円、1ドル=145円換算）規模のETHベースの財務準備計画を発表した。これはビットコイン中心の企業戦略に似た動きだ。
同社は、上場株式への私募投資（PIPE）を通じて約4億2500万ドルを調達している。調達資金はイーサリアムの購入に充てられ、イーサリアムは主要準備資産として機能する。
発表によると、この募集は5月29日に完了する予定だ。ルービン氏は完了後、取締役会会長に就任する。
一方、ビットコイン現物ETF（上場投資信託）には3億8500万ドル（約558億2500万円）以上の新規資金が流入し、機関投資家の需要が継続していることを示唆している。
それでも、今週ラスベガスで開幕する注目のビットコイン・カンファレンスを前に、トレーダーは慎重な姿勢を崩していない。主要な講演者には、JD・ヴァンス（JD Vance）氏、マイケル・セイラー（Michael Saylor）氏、そして過去に講演で市場の激しい反応を引き起こしたトランプ一族が含まれる。
シンガポールに拠点を置くQCPキャピタル（QCP Capital）はマーケットブロードキャストで、「BTCは10万7000ドルから11万ドルの狭いレンジで取引されており、短期的なボラティリティは依然として高い水準を維持している」と述べた。「昨年、ナッシュビルで行われたトランプ大統領の基調講演では、1日のインプライド・ボラティリティ（IV）が90ドルを超えて急上昇し、その後、BTCは30%下落した。この記憶は今もなお、ポジション形成に影響を与えている」。
QCPは、永久先物の未決済建玉が減少し、資金調達率（ファンディングレート）が正常化し、ジェームズ・ウィン（James Wynn）氏をはじめとする一部の著名な個人投資家がエクスポージャーを削減しているようだと付け加えた。
こうした守勢的な姿勢は、今夏に最高値更新が期待される一方で、トレーダーは政治やマクロ経済の見出しをめぐる短期的なボラティリティに備えていることを示唆している。それでも、アナリストは概ね強気の見方を維持している。
シグナルプラス（SignalPlus）のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン（Augustine Fan）氏はCoinDeskへのテレグラムのメッセージで、「基盤構造は依然として強固だ」と述べた。
「マクロ経済のプラスの逆風と基盤構造の改善が楽観的な見通しをもたらし、トレーダーは夏までに価格が新たな高値に向かって上昇すると予想している」とファン氏は締めくくった。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
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｜原文：Bitcoin Traders Eye New Highs by End of Summer; Ether Rises 3% on Treasury Optimism
