ビットコイン、10万6000ドルを割り込む──イーサリアムはブレイクアウト迫るか
  • ビットコインの価格は9日ぶりの安値に下落し、一時的に10万6000ドルを下回る水準で取引された。一方、主要な暗号資産(仮想通貨)が下落する中、イーサリアムとXRPは他をアウトパフォームした。
  • 米国控訴裁判所がトランプ関税の復活を命じたことから、関税の不確実性が再び浮上しており、投資家のセンチメントに影響を与える可能性がある。
  • イーサリアムは3000を上回るブレイクアウトの兆候を示していると、B2ベンチャーズ(B2 Ventures)の創業者は主張した。

ビットコイン(BTC)は米国時間5月29日午後、4月の安値から数週間にわたる上昇局面が冷めた暗号資産市場において、9日ぶりの安値へと静かに下落した。

ビットコインはセッション安値の10万5750ドルまで下落した後、10万6000をわずかに上回る水準まで回復した。過去24時間では1.5%下落したが、依然として史上最高値の5%安に留まっている。

CoinDesk 20 Index(取引所コイン、ミームコイン、ステーブルコインを除く時価総額上位20の暗号資産インデックス)は、過去24時間で0.9%下落した。

ソラナ(SOL)とアバランチ(AVAX)は、それぞれ1.8%と2%下落し、ビットコインをアンダーパフォームした。一方、イーサリアム(ETH)とエックス・アール・ピー(XRP)は、1%~2%の上昇を記録し、下落傾向に逆行した。

暗号資産関連株は比較的静かな取引となった。コインベース(Coinbase)は2.7%下落したが、ストラテジー(Strategy)は0.8%上昇。ビットコインマイニング企業のビットファームズ(Bitfarms)、ビット・デジタル(Bit Digital)、クリーンスパーク(CleanSpark)、グリニッジ・ジェネレーション・ホールディング(Greenidge Generation Holding)はそれぞれ、約4%安となった。

伝統的市場に目を移すと、米国株式は28日に裁判所がトランプ関税の差し止めを命じたことを受けて上昇した分の大半を返上した。

しかし、米連邦控訴裁判所は29日、政府が控訴する中で関税の差し止めを一時停止するよう命じ、投資家が感じる不透明感をさらに高める可能性もある。

LMAXグループ(LMAX Group)のマケットストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は、控訴が進行中で、貿易合意の期限が7月9日に迫る中、関税問題が再び焦点となり、市場は変動が激しい展開になると予想しているが、それでもデジタル資産のさらなる上昇余地を見込んでいる。

「ビットコインは週後半も堅調を維持し、最近のピーク直下で保ち合いつつも、20日間連続で10万ドルを上回る水準を堅守しており、持続的な上昇トレンドを浮き彫りにしている」と、クルーガー氏は述べた。

強さを示すイーサリアム

クルーガー氏はまた、暗号資産財務戦略ブームが、シャープリンク・ゲーミング(SharpLink Gaming)の4億2500万ドル(約610億円、1ドル=144円換算)の資金調達計画によってイーサリアムにも波及する中、イーサリアムがビットコインに対する数年来の下落トレンドを打破する兆候を示していると指摘した。

B2ベンチャーズの創業者兼投資家であるアーサー・アズィズ(Arthur Aziz)氏は、イーサリアムがブレイクアウトを準備していると述べつつ、ダウンサイドリスクを警告した。

自らのテクニカル分析をシェアしたアズィズ氏は、過去数週間で2750ドルのレベルが上昇を阻む重要な障壁となった一方、2550ドル~2450ドルの領域が重要なサポートレベルとして浮上したと指摘した。

さらにアズィズ氏は、イーサリアムが歴史的に価格上昇に先駆ける上昇型トライアングルを形成していると述べた。

「3000ドルのブレイクアウトに向けた舞台は現在、整いつつある」とアズィズ氏は述べた。しかし、先物市場でのレバレッジの「過剰な利用」は、連鎖的な売りによって2550ドル~2450ドルのサポートゾーンを下回る「急落」を引き起こす可能性もあると指摘した。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ビットコインの5月29日の値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Slides Below $106K; Analyst Sees Ether Breakout Looming