34.5兆円相当の不動産証書をアバランチでトークン化:米ニュージャージー州バーゲン郡
  • 米ニュージャージー州バーゲン郡は、ブロックチェーンソフトウェア企業バルコニーとの5年間の契約に基づき、不動産証書をアバランチネットワーク上でデジタル化する。
  • 70の自治体にまたがる約100万人の住民の不動産記録管理を簡素化し、セキュリティを強化することが目的。
  • この動きは、資産記録管理の運用効率向上のためににブロックチェーンを活用する、いわゆる「トークン化」のトレンドに沿ったものだ。

米ニュージャージー州バーゲン(Bergen)郡は、アバランチ(Avalanche)ネットワークを活用し、郡全体の不動産記録システムをブロックチェーン上に構築する。これは、米国最大の不動産証書トークン化プロジェクトだという。

リリースによると、ニューヨーク市からハドソン川を渡ったところに位置する、経済的に裕福な同郡は、土地の記録を扱うブロックチェーン企業バルコニー(Balcony)との5年間の契約に基づき、約2400億ドル(約34.5兆円、1ドル=144円換算)相当、約37万件の不動産証書を、変更不可能かつ検索可能なブロックチェーン台帳へと移行する計画だ。アバランチを活用したこのシステムは、70の自治体にまたがる約100万人の住民に対してサービスを提供するという。

「この取り組みは、住民の生活を向上させることを目的としている」と、バーゲン郡書記官のジョン・ホーガン(John Hogan)氏は述べる。

「不動産記録をデジタル化することで、住宅の所有者、企業、そして将来世代にとって、手続きをよりシンプル、迅速、そしてより安全なものにしていく」

この動きは、債券、ファンド、不動産など資産の所有権の移動と記録にブロックチェーン技術を活用するという広範な時流に沿った、いわゆる「現実資産(RWA)のトークン化」としても知られている。

ボストン・コンサルティング・グループとリップル(Ripple)社による最近のレポートによると、トークン化資産市場は2033年までに18.9兆ドル(約2722兆円)に達し、そのうち不動産が大きな割合を占めると予測されている。最近では、ドバイ当局が、全不動産取引の7%(約160億ドル相当)をブロックチェーン技術で処理する戦略の一環として、XRPレジャー上に構築された不動産トークン化プラットフォームを発表した。

ニュージャージー州の複数の郡ですでに同様のシステムを手がけているバルコニーは、ブロックチェーンベースのプラットフォームによって、詐欺や記録の不一致といったリスクに対処しながら、登記処理時間を90%短縮できると主張している。また、同プラットフォームは自治体の歳入増加にも貢献する。同社によると、このプラットフォームはニュージャージー州オレンジ市で、これまで不動産記録の不正確さや古さのために見逃されていた約100万ドル(約1.4億円)の自治体歳入の損失を検出したという。

「ブロックチェーンは、複雑な現実世界の問題を解決し続けている」と、エコシステム開発組織アバラボ(Ava Labs)の最高戦略責任者、ルイジ・ドノリオ・デメオ(Luigi D’Onorio DeMeo)氏は述べる。

「(アバランチ)インフラは、大量のデータを迅速かつ安全に処理できるように構築されており、まさに不動産記録の管理方法を近代化し、公共機関の運営方法を変革するために不可欠なものだ」

昨年、カリフォルニア州運輸局(DMV)は、ソフトウェア開発会社のオックスヘッド・アルファ(Oxhead Alpha)と提携し、所有権移転手続きを近代化するため、アバランチで4200万件の自動車所有権をデジタル化した。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:New Jersey’s Bergen County to Tokenize $240B in Real Estate Deeds on Avalanche Network