
- ビットコイン価格が10万4000ドルを割り込んだ。6億ドルを超える清算につながり、2月以来で最大の損失額を記録した。
- アメリカのトランプ大統領による中国の鉄鋼・アルミニウムへの関税引き上げは、世界の貿易市場を揺るがし、暗号資産市場に影響を与えている。
- 暗号資産市場全体が売り圧力にさらされ、イーサリアムやXRP、ソラナなどの主要な暗号資産が大幅に下落した。
ビットコイン(BTC)価格が10万4000ドル(約1508万円、1ドル145円換算)を割り込む中、暗号資産市場では過去24時間で清算の波が押し寄せた。先物のロングポジションが6億ドル(約870億円)以上清算され、2月以来で最大の損失額となった。
清算の総額は6億8800万ドルで、その89%はロングポジションだった。これは強気相場の過熱を反映している。コイングラス(Coinglass)のデータによると、単一の清算として最大だったのはOKXにおける1225万ドル(約18億円)のBTC/USDT注文。
ビットコイン先物が1億5300万ドル以上の損失で最も多く、イーサリアム(ETH)が約1億2200万ドルで続いた。ソラナ(SOL)は約3300万ドル、エックス・アール・ピー(XRP)は3000万ドル、ドージコイン(DOGE)は2200万ドル以上の清算となった。
FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏はCoinDeskへのメールで、「金曜日の市場は関税関連の懸念が再燃し、下落した」と指摘した。
アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、中国が二国間貿易協定に違反したと非難し、国内産業を保護するため鉄鋼とアルミニウムへの関税を倍増させて50%に引き上げた。同大統領は、中国が5月の貿易摩擦緩和合意を破ったと主張し、習近平国家主席と協議する可能性があると述べた。
ロイター通信によると、中国は鉄鋼の最大の輸出国だが、その鉄鋼の大部分は既に既存の関税の対象となっている。トランプ大統領の行動は世界の貿易市場を揺るがし、主要鉱物資源や両国の関係全般に影響を及ぼす可能性がある。
暗号資産(仮想通貨)市場全体も売りに押され、この日にイーサリアムは約4%、XRPとソラナは約4~5%、ドージコインは8%以上下落した。
デリビット(Deribit)のデータによると、ビットコイン先物取引の建玉は4月以降51%、オプション取引は126%増加しており、投資家のレバレッジ需要の高まりを示唆している。しかし、1万BTC以上を保有する大口保有者である「クジラ」は、買い持ちから売り越しに転じ、典型的な利益確定の兆候としてビットコインを取引所に送り返している。
清算の連鎖は、市場の極端な状況を示すことが多い。こうした状況では、市場センチメントが一方向に行き過ぎ、価格反転が差し迫っている可能性がある。しかし、関税問題の再燃とデリバティブ市場の不安定さが相まって、トレーダーは今後のボラティリティ上昇に備えている。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Bulls Rack up $600M Liquidations as Bitcoin Drops Under $104K