
- XRPの5月のパフォーマンスは市場の優柔不断さを示し、十字型のローソク足パターンは強気相場の疲労感を示唆している。
- それにもかかわらず、Deribitでは強気なセンチメントが持続しており、高権利行使価格のコールオプションの建玉は依然として大きい。
- XRPのクロスボーダー決済における役割と、米国ETF(上場投資信託)上場への期待が、この強気ムードを醸成していると考えられる。
リップル(Ripple)がクロスボーダー取引を促進するのに用いているエックス・アール・ピー(XRP)は、5月を優柔不断な状態で終えた。しかしながら、主要暗号資産(仮想通貨)のオプション取引所であるデリビット(Deribit)の取引では、強気派がまだ下落を受け入れる準備ができていないことが示唆される。
チャート・プラットフォームTradingViewによると、決済が軸となるXRPは5月に長い上ヒゲを持つ「十字型」を形成した。これは、市場における優柔不断さが表れる典型的な兆候だ。
長い上ヒゲは、強気派が価格を2.65ドル(約382円、1ドル=144円換算)まで押し上げたものの、弱気派が介入してその水準を否定し、価格を月初の水準近くまで下落させたことの表れである。

十字線の出現は、4月初旬の1.60ドル(約230円)付近の安値からの回復が勢いを失ったことを示唆している。上昇トレンド後に十字線が出現すると、テクニカルアナリストは強気相場の疲弊と下落に転じる可能性を見出すことがよくある。
そのため、先週、一部のトレーダーは米国時間5月30日に満期を迎える行使価格2.40ドル(約345円)のプットオプションを購入した。プットオプションは価格下落に対する保険の役割を担う。
強気のオプション建玉
全体的な状況は依然として強気で、オプション建玉はより高い行使価格のコールオプションに集中しており、これは継続的な強気相場の兆候である。建玉とは、ある時点でのアクティブな契約数を指す。コールオプションは、購入者に原資産(この場合はXRP)に対する非対称的な上昇エクスポージャーを付与し、強気な賭けとなる。
「デリビットにおけるXRPの未決済建玉は着実に増加しており、権利行使価格の集中度は2.60ドル(約374円)から3.0ドル(約432円)以上の上昇局面に集中している。これは、スポット価格が本記事執筆時点では2.16ドル(約311円)で取引されている中で、非常に強気なセンチメントを反映している」と、デリビットのCEOであるルーク・ストリジャーズ(Luuk Strijers)氏はCoinDeskに対して述べた。

チャートを見ると、4ドル(約576円)のコールオプションが最も人気があり、想定元本未決済建玉は539万ドル(約7.7億円)となっている。3ドル(約432円)と3.10ドル(約446円)のコールオプションは、それぞれ500万ドル(約7.2億円)を超える未決済建玉(OI)となっている。想定元本未決済建玉とは、アクティブな契約数をドル換算した金額を指す。
「XRPオプションの未決済建玉は、6月と9月の満期に分散しており、月間想定元本取引量は約6500万ドル(約93.6億円)から7000万ドル(約100億円)で、そのうち95%以上がデリビットで取引されている」と同氏は述べた。
この強気ムードは、XRPがクロスボーダー決済のソリューションとして位置付けられていること、そして米国におけるXRP ETFスポット上場への期待の高まりに起因していると考えられる。さらに、XRPは企業の財務的な資産としても注目を集めている。
クロスボーダー取引を促進するためにXRPを使用しているリップルは最近、SWIFTベースのクロスボーダー決済における非効率性を解消する可能性を強調した。B2Bクロスボーダーの決済市場は、2024年の31.6兆ドル(約4550兆円)から2031年には58%増の50兆ドル(約7200兆円)に拡大すると予測されている。
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:XRP’s Indecisive May vs. Bullish Bets – A Divergence Worth Watching