
- イーサリアムの最近のアップグレードは、ネットワーク活動の増加にはつながっていないとJPモルガンは述べた。
- 2024年3月のデンクンアップグレード以降、平均手数料と総手数料が低下していると同行は指摘。
- 先物ポジションは、イーサリアムの最近の上昇において機関投資家が大きな役割を果たしたことを示唆していると、レポートは述べた。
投資銀行のJPモルガン(JPMorgan)はリサーチレポートのなかで、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーンは相次ぐアップグレードにもかかわらず、アクティビティの大幅な増加はまだ見られないと述べた。
「1日あたりの取引数もアクティブアドレス数も、最近のアップグレード後に大幅な増加は見られなかった」とニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いる同行のアナリストらは、28日のレポートで述べた。
それでも、イーサリアムの預かり資産(Total Value Locked:TVL)は、2024年3月のアップグレード「デンクン(Dencun)」と今月初めの「ペクトラ(Pectra)」の間に増加したと同行は指摘。これは、分散型取引所(DEX)における貸借の増加によるものと考えられるが、増加額をドル換算で見ると、ブロックチェーン上のイーサリアム(ETH)の増加額よりも小さいようだ。
イーサリアムは5月7日、ペクトラアップグレードを有効化した。このアップデートは、ステーキングの効率化、ウォレット機能の強化、全体的な効率性の向上を目的としている。
ペクトラによって、ETHとイーサリアム自体が機関投資家にとってより魅力的なものになると同行は述べた。これはネットワークを競合他社と差別化するが、アップグレードによってアクティビティが有意義な方法で促進されたわけではない。
デンクンアップグレードのあと、レイヤー2チェーンへの移行の影響もあり、平均手数料と総手数料の両方が低下したと同行は指摘。
デンクン後にETHの流通供給量も増加し、このアップグレードによりイーサリアムが「取引活動が低迷するなかでインフレ型資産になる」のではないかという懸念が高まったとJPモルガンは述べた。
先物ポジションは、ETHの最近の上昇において機関投資家が大きな役割を果たしたことを示唆しているとレポートは付け加えた。CoinDeskのデータによると、ETHは過去1カ月で45%以上上昇した。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Shutterstock
|原文:Ethereum Upgrades Have Failed to Boost Network Activity in Meaningful Way: JPMorgan