ステーブルコインは米国債需要を押し上げ、米ドル優位性を反映:シティ
  • ステーブルコインの利用拡大が米国財務省短期証券の需要を押し上げると、シティは述べた。
  • 現在議会で検討されている法案は、準備金を短期国債で保有することを義務付けることで、この傾向をさらに後押しするはずだとレポートは述べた。
  • ステーブルコインの潜在的な市場規模は巨大で、同行の強気シナリオでは2030年までに3兆7000億ドル(約532億8000万円、1ドル144円換算)に達する可能性がある。

ウォール街の大手シティグループ(Citigroup)が5月30日に発表したレポートによると、暗号資産(仮想通貨)市場と伝統的な金融市場の両方において、ステーブルコインはますます重要な役割を果たしている。

ステーブルコインの利用が拡大するにつれて、米国財務省短期証券の需要も増加するが、マネー・マーケット・ファンド(MMF)からの代替により、正味の効果が限定的になる可能性があると同レポートは述べた。

現在議会で検討されている法案は、準備金を短期国債で保有することを義務付けることで、この傾向をさらに後押しする可能性があるとシティは指摘。

ステーブルコイン発行における米ドルの優位性は、世界の準備通貨としての地位を反映していると述べた。

テザー(USDT)のようなドルに裏付けられたステーブルコインは、暗号資産(仮想通貨)取引やブロックチェーンベースの決済において中心的な役割を担っていることから、依然として優位に立っているとシティは指摘。

一方、ペイパル(PayPal)やビザ(Visa)などの新しいプレーヤーも、ステーブルコインのユースケースを実験しているとシティは述べた。

シティによると、ステーブルコインの潜在的な市場規模は大きく、2030年までに1兆6000億ドル(約230兆4000億円)から3兆7000億ドル(約532億8000万円)に達すると予想されているが、利回り制限などの規制上の制約により成長が抑制される可能性がある。

それでも、ステーブルコインの発行動向は、進化する世界の通貨秩序を理解するための洞察を提供する可能性があると同レポートは付け加えた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Unsplash
|原文:Stablecoins Boost Treasury Bill Demand, Reflect Dollar Dominance, Citi Says