イーロン・マスク氏が発表した「ビットコイン式」のXChat、専門家は懐疑的
  • イーロン・マスクは、新しいメッセージ機能「XChat」のリリースを発表したが、専門家やビットコイン市場にはあまりよい印象を残していないようだ。
  • XChatの機能には、エンドツーエンドの暗号化、メッセージの消去、電話番号不要のファイル共有などがあるが、そのセキュリティに関する主張には疑問が投げかけられている。
  • ビットコイン価格は、先週3%下落した後、10万5000ドル前後で安定している。

X(旧Twitter)の所有者である億万長者のイーロン・マスク(Elon Musk)氏は6月1日、XChatという新しいメッセージングアプリ機能のリリースを発表した。しかし、ビットコイン(BTC)市場もテックコミュニティも、この発表にあまり感銘を受けていないようだ。

この新サービスの主な特徴の一つは、ビットコイン式の暗号化技術を用いたプログラミング言語「Rust」で構築されている点だ。エキサイティングに聞こえるが、暗号資産(仮想通貨)コミュニティはそれほど興奮しておらず、その意味について疑問の声が上がっている。

「ビットコインは主に暗号化ではなく署名を使用している。これは、NASAが水素と酸素を使用しているから、我々はロケットを水で動かすことにした、と言っているようなものだ」とメリーランド大学のコンピュータサイエンスの助教授、イアン・ミアーズ(Ian Miers)氏はXで述べている。

暗号化とは、データを、正しい鍵を持ち、権限のある当事者だけが復号化して読み取れるようにするプロセスを指す。しかし、ビットコインのブロックチェーン上で実行される取引は暗号化されておらず、署名されているだけだ。実際、ビットコインのノード間で共有されるすべてのデータは暗号化されておらず、見知らぬ人同士がネットワーク上でやり取りできる。

「言うまでもなく、『ビットコイン方式』や『Rust』は暗号化方式の記述ではなく、メッセージングアプリのセキュリティの強さを示す指標でもない。また、暗号化されたDMがアプリ内のみに存在する場合を除き、Rustのみで実装されている可能性は低い」とミアーズ氏は述べた

CoinDeskのデータによると、市場価値で最大の暗号資産であるビットコインは、先週3%以上下落した後、10万5000ドル近辺で横ばいとなっている。

この新サービスの他の主要な機能には、エンドツーエンド暗号化、消えるメッセージ、電話番号なしで音声や動画を含むあらゆる種類のファイルをすべてのプラットフォーム間で送信する機能が含まれる。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Elon Musk Announces ‘Bitcoin-Style’ XChat, But Tech Experts Are Skeptical