ビットコイントレーダーは下落の兆候として、いくつかの水準を注視している
  • ビットコイン価格は10万5000ドルを上回って安定しているが、暗号資産全体の時価総額はわずかに減少した。
  • アナリストは、暗号資産市場はサイクル後期にあり、ビットコインの優位性が衰えればアルトコインが勢​​いを増す可能性があるとしている。
  • ステーブルコインの準備金の増加は、投資家が不安定ながらも利益の出る可能性のある夏を予想し、新たな資金を投入する準備をしていることを示唆している。

暗号資産(仮想通貨)市場はデイトレーダーに利益を得る機会を提供していないが、長期的な市場観測筋は市場が緊張状態にあり、重要な水準を注視し、両方向への動きに備える必要があると指摘している。

ビットコイン(BTC)は6月4日に10万5000ドルをわずかに上回る水準で推移し、週前半から着実な上昇を示した。イーサリアム(ETH)、カルダノ(ADA)、ドージコイン(DOGE)、エックス・アール・ピー(XRP)は1%未満の上昇を示した。全体的な時価総額は1.8%減少した。

LVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクター、ニック・ラック(Nick Luck)氏は、市場のセンチメントの変化は貿易摩擦への懸念とリスク資産への圧力がすでに価格に織り込まれているとの認識を反映していると述べた。

「アメリカ経済が縮小の兆候を示す中、投資家はテクノロジーセクター、特に機関投資家が業界との統合をさらに進める中、ビットコインの将来見通しに楽観的だ」とラック氏は述べ、インフレリスクや不透明なマクロ政策にもかかわらず、暗号資産市場の長期的な動向は依然として前向きだと付け加えた。

過去1週間のビットコインの価格動向は示唆に富む。フィネキア・インターナショナル(Fineqia International)の調査アナリスト、マッテオ・グレコ(Matteo Greco)氏によると、BTCの先週の終値は10万5700ドル付近で、前週の終値10万9050ドルから3.1%下落した。これは、BTC現物ETF(上場投資信託)が6週間連続の資金流入後、初めて1億5000万ドル(約217億5000万円)の純流出を記録したためだ。

「取引所におけるBTCの量が引き続き減少している一方、ETHやXRPなどの主要アルトコインの保有量は安定している」と、グレコ氏はCoinDeskへのメールで述べた。

また、取引所におけるステーブルコインの保有量は数年ぶりの高水準に達しており、投資家が市場から撤退するのではなく、新たな資金を投入する準備を進めている可能性があると指摘した。

グレコ氏は、ビットコインの市場価値対実現価値(MVRV)比率は現在約2.2で、歴史的な最高値である3.7を下回っていると付け加えた。これは、サイクルの終盤段階にあるが、まだピークには達していないことを示唆している。

Bitunixのアナリストたちは、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な発言が短期的なリスク選好の要因になると指摘した一方で、ドルの変動が資金の流れを乱す可能性があると警告した。

「ビットコインの短期的なキーレベルは10万5000ドルだ」と彼らは述べた。「この水準を維持できれば、上昇が続く可能性がある。逆に、市場がリスク回避に傾けば、10万2700ドルの主要なサポート水準を防衛する必要がある」。

そのため、アナリストたちは、ビットコインのドミナンスが衰え始めた場合、歴史的にサイクル後期の転換の兆候であり、アルトコインが勢いを増し、強気市場の後半局面に入る可能性があると指摘している。

ステーブルコインの備蓄が増加し、機関投資家がビットコインを戦略に組み込む動きが続く中、トレーダーたちは、変動が激しいが潜在的に利益をもたらす夏に備えている。

「暗号資産市場のポジティブなトレンドが長期的に続くことを期待している」とLVRGのラック氏は述べた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Traders Are Watching These Levels for Cues on Downside Risk