企業のビットコイン保有高、約12兆円に──1年で2倍以上に増加
  • ビットコインを財務資産として保有する上場企業の数は116社に増加し、5月末時点での合計保有数は80万9100枚に達した。
  • これは、昨年の31万2200枚からの大幅な増加となっており、4月初旬以降だけで約10万枚が追加されている。
  • また、トークン化された現実資産(RWA)も急増し、今年だけで260%以上増の230億ドル相当に達している。

ビットコイン(BTC)は企業の財務にますます深く浸透しており、5月末時点で116の上場企業が合計80万9100枚のビットコインを保有している。これは現在の価格に基づくと、約850億ドル(約12兆円、1ドル=144円換算)に相当する。

バイナンス・リサーチ(Binance Research)の最新の報告書によると、これは1年前に企業の財務資産として保有されていた31万2200枚からの劇的な増加である。今年4月初旬以降だけで、ほぼ10万枚のビットコインが追加されている。

この急増は、価格の上昇と構造的な追い風によって引き起こされているようだ。ドナルド・トランプ氏は2024年の米大統領選キャンペーンで、暗号資産(仮想通貨)に友好的な姿勢を示し、米国をこの資産クラスの世界的なハブとし、「地球の暗号資産の首都」を構築すると公約した。

トランプ氏は大統領就任以来、戦略的ビットコイン準備金と米国デジタル資産備蓄の設立に着手し、米証券取引委員会(SEC)は大手暗号資産企業に対する数多くの訴訟を取り下げた。

バイナンスの報告書によると、トランプ氏が選挙で勝利した11月に、企業によるビットコインの保有数が増加した。

さらに、米財務会計基準審議会(FASB)が今年導入した新たな公正価値会計基準により、企業はビットコイン保有による利益を認識できるようになり、長年の障害が取り除かれた。

ゲームストップ(GameStop)やPSGなど、最近ビットコインの保有を開始した企業もあるが、ストラテジー(Strategy)社が依然として、企業による保有数の70%以上と、企業として最も多くのビットコインを保有している。

一部の企業は、他の資産にも慎重に参入している。シャープリンク(SharpLink)は4億2500万ドル相当のイーサリアム(ETH)を保有しており、DeFiディベロップメント(DeFi Development)とクラスオーバー(Classover)はソラナ(SOL)に投資している。中国拠点の企業Webusは先日、3億ドル相当のエックス・アール・ピー(XRP)の戦略的備蓄を申請した。

しかし、これらのアルトコイン保有は依然として比較的小規模であり、トークン重視の企業へのブランド転換を試みる企業と結びついている場合が多いと、バイナンスは指摘している。

バイナンスの報告書では、トークン化された現実資産(RWA)の急激な増加も指摘されており、今年86億ドルから230億ドルへと、260%以上増加している。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Corporate Bitcoin Holdings Nears $85B, More Than Doubling in a Year