サークル株、NYSE上場初日に急騰──ステーブルコイン発行企業への強い需要を示唆
  • サークル(Circle)社の株式は6月5日、69ドルで取引を開始し、その後100ドルまで急騰した。4日夜のIPO価格は31ドルであった。
  • サークル社は3400万株の売却を通じて約11億ドルを調達し、ニューヨーク証券取引所にCRCLのティッカーシンボルで上場した。
  • この上場は、市場センチメントが慎重な一方、ステーブルコインの普及と規制にまつわる勢いが拡大する中で行われた。

サークル社の株式は6月5日、1株あたり69ドルでニューヨーク証券取引所で取引を開始した。株価は一時、100ドルまで急騰し、前夜に設定されたIPO価格の31ドルから200%以上上昇した。

サークル社は4日の夜、新規株式公開(IPO)で約3400万株を売却し、約11億ドル(約1580億円、1ドル=144円換算)を調達し、69億ドルの評価額を獲得したと発表した。

この上場により、2021年のSPACによる上場の断念を含む過去の試みを経て、サークル社はようやく公開市場に参入した。  

米証券取引委員会(SEC)への提出書類とブルームバーグの報道によると、キャシー・ウッド(Cathie Wood)氏率いるアーク・インベストメント・マネジメント(Ark Investment Management)は、サークル社の株式を最大1億5000万ドル相当購入する意向を示し、ブラックロック(BlackRock)も株式の10%を購入する意向を示していた。

今回のIPOは、2021年にナスダックで上場した暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)のIPOと比較されることが多い。コインベースのIPOでは、株価が一時430ドルまで急騰した後、1カ月後には200ドルまで急落する変動の激しい取引が行われた。

一方、コインベースやストラテジー(Strategy)を含む暗号資産関連株、およびビットコイン(BTC)は5日、下落傾向を示した。サークルの株価は80ドル~83ドル付近で安定しているようだ。

サークル社の株は、依然として不透明なマクロ経済環境に立ち向かう市場でデビューした。決算シーズンは終盤に差し掛かり、次四半期の見通しについて弱い見通しを表明する企業の方が強い見通しを表明する企業よりも多くなっており、米国株式が今後数カ月間でさらなる圧力を受ける可能性を示唆している。

しかし、サークル社の中核事業であるドル連動型ステーブルコイン、USDコイン(USDC)の発行は、別のトレンドから恩恵を受けている。

米国における規制の進展を要因のひとつとして、2025年にステーブルコインの需要が拡大しているのだ。政策当局者は、より明確なルールの確立に近づいていると示唆しており、これがステーブルコインの主流金融における正当化と拡大を後押しする可能性がある。

ドイツ銀行は先月の報告書で、ステーブルコインが主流になる寸前にあると予測した。同行は、デジタル決済、国境を超えた決済、財務管理におけるステーブルコインの役割の拡大を指摘しつつ、同時に米ドルのグローバルな優位性を強化する要因としても挙げた。

サークル社のIPOは、投資家が単に暗号資産企業に賭けるのではなく、ステーブルコインが不可欠な金融インフラとなることに賭けるという、その変化の早期の兆候かもしれない。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:サークル社のジェレミー・アレールCEO(CoinDesk)
|原文:Circle Shares Surge on NYSE Debut, Signalling Strong Appetite for Stablecoin Issuers