トランプ・メディアとセムラー・サイエンティフィック、最もお得なビットコイン財務戦略企業?
  • ビットコインの蓄積に焦点を当て、ストラテジー(Strategy)社と類似した戦略を採用するビットコイン財務戦略企業が増加している。
  • mNAV(市場純資産価値)は一般的な評価指標だが、NYDIGのグローバルリサーチ責任者は、これだけでは不十分だと指摘し、包括的な分析のためには複数の指標を組み合わせる必要があると提言している。

ビットコイン(BTC)を蓄積することにほぼ専ら専念する企業(ビットコイントレジャリー企業)が大幅に増加している。

これらの企業はおおむね、ストラテジー社の戦略を参考にしているため、これら企業を評価する最良の方法や、相互比較の基準に関して疑問が浮上している。

「ビットコイントレジャリー企業に関して最も重要な指標は、その基礎となる純資産(運営会社を含む)に対する取引価格のプレミアムである」と、ビットコイン金融企業NYDIGのグローバルリサーチ責任者グレッグ・チポラロ(Greg Cipolaro)氏は6月6日付の報告書で主張している。

これは表面上、企業の保有するビットコイン、現金、企業価値を合計し、債務や優先株などの債務を差し引くことを意味する。

「このプレミアムが、これらの企業が株式をビットコインに交換するのを可能にし、実質的に株式をビットコインに交換する為替業者として機能できるようになる」とチポラロ氏は説明した。

最も人気のある指標のひとつであるmNAVは、企業の評価額を純資産価値(この場合、ビットコインの保有高)と比較して測定する。

mNAVが1.0を超える場合、投資家が株式への投資に対してビットコイン保有高に対するプレミアムを支払う意欲があることを示す。一方、mNAVが1.0未満の場合、株式の価値が企業のビットコイン保有高よりも低くなっていることを意味する。

しかし、チポラロ氏は、これらの企業の強みと弱みを分析するにはmNAV単独では「極めて不十分」だと指摘した。

NYDIGの報告書では、NAV、時価総額に基づくmNAV、企業価値に基づくmNAV、およびNAVに対する株式プレミアムなどの他の指標を活用し、より複雑な状況を把握するための分析を行っている。

上の表に示すように、セムラー・サイエンティフィック(Semler Scientific)とトランプ・メディア(Trump Media)のNAVに対する株式プレミアム(株の市場価格と純資産価値の差の割合を測定する指標)は、測定対象の8社中で最も低く、それぞれ-10%と-16%となっている。これは、両社のmNAVが1.1を超えるにもかかわらずだ。

ビットコインは6月9日、6日の夜の10万5000ドル台から10万8500ドルまで上昇したのに対し、セムラー・サイエンティフィック株とトランプ・メディア株は、ほとんど値動きがなかった。ストラテジー株は、ほぼ5%上昇している。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Trump Media and Semler Scientific Could Be Cheapest Bitcoin Treasury Companies by This Metric