ビットコイン、11万ドルを突破──次なる大きな値動きに向けた「分岐点」に
  • ビットコインは3%以上急騰して11万ドルを突破し、過去最高値に迫る勢いを見せた。一方、イーサリアムは3.2%上昇し、2620ドルを超えた。
  • ハイパーリキッドとスイのネイティブトークンは、伝統的市場が横ばいのなかで、それぞれ7%と4.5%上昇し、好調なパフォーマンスを示した。
  • ビットフィネックス(Bitfinex)のアナリストは、先週のレバレッジ解消後、ビットコインはより安定した基盤に立っているものの、マクロ経済的な要因を待つ重要な局面にあると指摘した。

ビットコイン(BTC)は6月9日、先週の下落から回復して6月で最も高い価格まで静かに上昇し、過去最高水準に近いレベルまで回復した。

ビットコインは過去24時間で3.7%上場し、11万ドルを突破。5月に記録された史上最高値からわずか2%下回る水準で取引されている。

イーサリアム(ETH)は同じ期間に3.8%上昇し、2620ドルを上回った。ハイパーリキッド(HYPE)とスイ(SUI)は、それぞれ7%と4.5%上昇し、ほとんどの大型暗号資産(仮想通貨)をアウトパフォームした。

ビットコインの急騰はレバレッジ取引を行うトレーダーを驚かせ、CoinGlassのデータによると、1時間以内に1億1000万ドル(約160億円、1ドル=145円換算)を超えるショートポジションが清算された。

すべての暗号資産では、9日中に3億3000万ドルのショートポジションが清算され、これは1カ月間で最も多い金額となった。ショートポジションは資産価格の低下から利益を得ようとするものである。

「『平和な上昇』が、この価格動向を完璧に表現する言葉だ」と、キュービック・アナリティクス(Cubic Analytics)の創業者で人気アナリストのケイレブ・フランゼン(Caleb Franzen)氏は述べ、次のように続けた。

「ハイヤーハイ(より高い高値)とハイヤーロウ(より高い安値)が着実に進行する傾向が続いている。弱気の兆候が見えれば、買い手が介入してトレンドを支える」。

この動きは、S&P 500とナスダック指数が横ばいで推移するなど、伝統的市場が鈍い動きを見せる中で発生した。

暗号資産関連株はセッション中に反発し、週末のビットコインの回復に追いつこうとした。

「ビットコインが約10万ドル付近まで10%下落し、さらに過去1週間で暗号資産デリバティブ市場で19億ドルを超える清算が発生して過剰なレバレッジが解消されたことを受け、暗号資産市場は現在、潜在的な次の上昇局面に向けてより安定した基盤を築きつつある」と、ビットフィネックスのアナリストは9日付の報告書で指摘した。

しかし、オンチェーンデータは長期保有者からの売り圧力の増加を示唆しており、それが需要を凌駕する可能性があると、アナリストは付け加えた。

「ビットコインは現在、構造的なサポートと弱まる上昇モメンタムの間で均衡を保ち、次のマクロ要因を待っている」と、ビットフィネックスの報告書は指摘した。

これらのマクロ要因は今週後半に現れる可能性があるとして、暗号資産取引会社ウィンターミュート(Wintermute)のOTCトレーダー、ジェイク・オストロフスキー(Jake Ostrovskis)氏は次のように語った。

「米中貿易代表は本日会談を予定しており、先週のポジティブなモメンタムを受けて市場はヘッドラインに敏感になる可能性が高い。新データの発表は11日までは軽微なものにとどまり、11日に発表されるCPI(消費者物価指数)が、米国のインフレ動向に関して新たな洞察を提供するだろう」。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:6月9日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Climbs Above $110K, ‘At Crossroads’ for Next Major Move