80億ドル相当のビットコイン移動、先にビットコインキャッシュで秘密裏にテストか
  • 85億ドル相当以上の「サトシ時代」のビットコインが休眠ウォレットから移動したことで、秘密鍵へのアクセスに関する憶測が広がった。
  • 大規模なビットコイン移動が始まる前に、1万枚以上のビットコインキャッシュが関与する不審な取引が報告された。
  • これらの取引のタイミングと性質は、秘密鍵のテスト、あるいは市場の混乱を避けるための組織的な取り組みの可能性を示唆している。

4日遅くに85億ドル(約1兆2320億円)相当の「サトシ時代」のビットコイン(BTC)が不可思議な移動をするのとほぼ同時期に、ビットコインキャッシュ(BCH)の動きが発生した。

コインベース(Coinbase)のディレクターであるコナー・グローガン(Conor Grogan)氏は、主要な移動が始まる数時間前に行われた、クジラのウォレットの1つに関連する1万枚以上のビットコインキャッシュ(現在価格で約500万ドル、約7億2500万円)の不審な取引を報告した。

この動きは、誰かが古い秘密鍵へのアクセスを得て、大規模なビットコイン移動を開始する前に密かにテストしていた可能性を示唆している。

グローガン氏はX(旧Twitter)に、「所有者が気付かれないように秘密鍵をテストしていた可能性がある」とし、「ビットコインキャッシュはホエールウォッチングサービスによって厳重に監視されていない」と指摘した。

2011年から休眠状態にあった8つのウォレットが、4日にそれぞれ1万BTCを新しいSegWitアドレスに移動させた。これは、現在ビットコインネットワークの「サトシ時代」として知られる時期に最初にビットコインを受け取ってから14年以上後のことだ。

これらのウォレットは今のところ既知の組織や企業と関連付けられていないが、移動のタイミング、規模、そして手動の性質によって警戒感が高まっている。

グローガン氏は、ビットコインのクラスター(同じ主体によって管理されているアドレスのグループ)に関連するビットコインキャッシュのアドレスのうち1つだけにアクセスがあったと指摘。「なぜ他も一度に動かさないのか?」と疑問を呈し、「これは、行為者が完全なアクセス権を持っていなかった可能性があることを示唆している」と述べた。

しかし、タイミングは不気味だ。ビットコインキャッシュのテスト送金からわずか1時間後に8万BTCの最初の1つが動き始め、サトシ時代のビットコインとしては最大の移動を引き起こした。

今のところ、新しいビットコインアドレスは資金をさらに送金したり、取引所に入金したりしていない。しかし、ビットコインキャッシュのテスト送金は、誰かが組織的な送金を実行する前に調査を行っていた可能性を示唆している。おそらく、クジラアラートの発動や市場の混乱を避けるためであろう。

他の説としては、秘密鍵の漏洩や量子コンピュータ攻撃まで考えられる。

ビットコインの初期のアドレス、特に公開鍵への支払い(P2PK)形式は、最初の取引後に公開鍵を公開してしまう。公開鍵がわかる場合、大規模な量子ハードウェアが実現すれば、ショアのアルゴリズムを用いて理論上解読可能になる。

なお、公開鍵を一度も公開したことのない休眠ウォレットは、量子未来においてもリバースエンジニアリングできる公開鍵が存在しないため安全だ。

したがって、テスト中に関連するビットコインキャッシュウォレットが1つだけ動かされ、他のウォレットはそのまま残っていたという事実は、アクセスが制限されていることを示唆している。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:$8B BTC Movements May Have Been Preceded by Covert Bitcoin Cash Test