- XDCベンチャーズは、ブロックチェーン技術とステーブルコインの統合により貿易金融プラットフォームを刷新するため、コントゥール・ネットワークを買収した。
- デジタル信用状に特化し、当初はHSBC、シティ、スタンダードチャータードといった大手銀行の支援を受けていたコントゥールは事業拡大に苦戦していたが、XDCの傘下で新たな資本と戦略に基づき、再編される。
- トークン化とステーブルコインは、グローバル貿易金融のコスト削減に貢献する可能性がある。
レイヤー1ブロックチェーンのXDCネットワーク(XDC Network)のベンチャー部門は10月22日、銀行がブロックチェーン基盤で貿易金融を効率化するためのデジタルプラットフォーム、コントゥール・ネットワーク(Contour Network)を買収したと発表した。
コントゥールは当初、HSBC、シティ(Citi)、スタンダードチャータード(Standard Chartered)などの大手銀行から支援を受けていたが、規模拡大に苦戦し、2023年末に閉鎖された。XDCの所有下で、新たな資本注入と戦略の見直しにより再構築され、ステーブルコインを現実の貿易プロセスに統合することに焦点を当てるとXDCはCoinDeskに共有したプレスリリースで述べた。
同社は買収価格を明らかにしていない。
この買収は、世界の銀行や金融機関が現実資産(RWA)のトークン化やステーブルコイン決済にブロックチェーン基盤を活用する取り組みを強化する中で行われた。リップル(Ripple)とボストン コンサルティング グループ(Boston Consulting Group:BCG)が今年前半に発表した報告書によれば、スマートコントラクトとブロックチェーン上のプログラム可能なデジタル決済によるプロセス自動化により、貿易金融分野だけで年間数十億ドルのコスト削減が可能と予測されている。
XDCネットワークは、イーサリアム互換のレイヤー1プラットフォームであり、決済時間2秒、「ISO 20022」準拠を特徴とし、現実資産のトークン化ハブとしての地位を確立しようとしている。提携先にはサークル(Circle)、ドイツテレコムMMS(Deutsche Telekom MMS)、セキュリタイズ(Securitize)が含まれ、MLETR(電子的転送可能記録のためのモデル法)やR3 Corda(企業間取引に特化した分散型台帳プラットフォーム)といった枠組みを統合して国際金融を支援している。
「銀行には決済基盤、財務最適化、コンプライアンスの枠組みが必要だ」とXDCネットワークおよびXDCベンチャーズの共同創業者、リテッシュ・カッカド(Ritesh Kakkad)氏は述べた。「我々はこれら3つをすべて構築している」。
コントゥールは信用状のデジタル化を専門としていた。信用状とは銀行が貿易取引を保証するために用いる金融商品の一種だ。同社によれば、過去の実際の取引ではコントゥールのシステムにより処理時間が数日から数時間に短縮されたという。XDCはこのプラットフォームを活用し、書類作成からリアルタイム決済までをカバーするエンドツーエンドのデジタル貿易金融の提供を目指す。XDCによれば、このプロジェクトは次の段階として、アメリカ、欧州連合(EU)、アジアの規制当局との間でテストを開始する。
今回の買収に伴い、XDCベンチャーズは銀行や企業向けのパイロットプログラムを運営する「ステーブルコイン研究所」の設立も発表した。これらのパイロットプログラムでは、サークルのUSDコイン(USDC)のような規制対象のステーブルコインが、従来の決済手段よりも効率的にブロックチェーン上で貿易取引を決済するためにどのように活用できるかを検証する。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:XDCの共同創業者、リテシュ・カッカド氏(XDC, modified by CoinDesk)
|原文:XDC Network Acquires Contour to Expand Stablecoins and Tokenization in Trade Finance


