金連動型トークンは“信じてくれ”トークンだ──バイナンス創業者が批判、市場規模39億ドルに拡大
  • トークン化された金の時価総額は38億6000万ドル(約5910億円、1ドル153円換算)に達し、XAUTとPAXGが市場を牽引している。
  • バイナンス共同創業者であるチャンポン・ジャオ氏は、この市場は根本的に第三者への信頼に基づいていると批判し、これらのトークンは物理的な金の所有権を真に表しているわけではないと主張。
  • これらのトークンはステーブルコインと同様の懸念を引き起こしており、現物の引き渡し、長期的な信頼性、金への現物化といった点で潜在的なリスクが存在。

金価格が史上最高値から後退し、1オンスあたり4100ドル前後で安定する中でも、金に価値が連動するトークンは暗号資産(仮想通貨)市場で人気を集めている。だが、誰もがこの前提を受け入れているわけではない。

CoinGeckoのデータによると、金トークンの総時価総額はテザーゴールド(XAUT)とパックスゴールド(PAXG)の力強いパフォーマンスに牽引され、38億6000万ドル(約5910億円)まで上昇した。

だが、バイナンス共同創業者で元CEOのCZことチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏にとって、これらのトークンは金を後ろ盾とした約束でしかない。

「トークン化された金は、“オンチェーン”の金ではない」とCZ氏はXへの投稿で書いている。「これは、たとえ経営陣が変わっても、数十年後でも、戦争中であっても、第三者が将来的に金を渡してくれると信じることに過ぎない」。

購入者が、場合によっては数十年先の不確実な状況下においても物理的な金を引き渡してくれることを中央集権的な発行体に依存していることは、その価値が米ドルなどの通貨にペッグされているステーブルコインが直面している懸念と同様の懸念を引き起こす。

NYDIGの最近のレポートは、サークル・インターネット(Circle Internet)のUSDコイン(USDC)やテザー社のテザー(USDT)のようなドルペッグ型トークンでさえ、極端な市場ストレス時にはペッグが崩れる可能性があると指摘。NYDIGによると、「ペッグ」という用語は、実際には存在しない保証を暗示している。

実際、最近の5000億ドル(約75兆5000億円)規模の暗号資産市場暴落時には、エセナ(Ethena)のUSDeがバイナンス(Binance)で一時0.65ドルまで急落し、他取引所でも下落した一方、USDCとUSDTは1ドル超で取引されていた。

トークン化された金はヘッジ手段として魅力的だが、同じリスクを隠し持っている可能性がある。

「これは“信じてくれ”トークンだ」とCZ氏は付け加えた。「だからこそ、“金貨”はどれも実際は普及していないのだ」。

CoinGeckoによると、最も規模の大きいXAUTでさえ、時価総額はわずか21億ドル(約3210億ドル)。一方、ドル連動型ステーブルコインであるUSDTは1830億ドル(約27兆9990億円)だ。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Scottsdale Mint/Unsplash/Modified by CoinDesk
|原文:Gold Token Market Swells to $3.9B as CZ Calls It a ‘Trust Me Bro’ Asset

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