- IBMは、銀行や政府、企業が複数のブロックチェーン上でデジタル資産を安全に管理できるよう支援するデジタル資産プラットフォームを立ち上げる。
- 2025年第4四半期に稼働開始予定のこのプラットフォームは、カストディや取引ルーティング、決済サービスに加え、本人確認やマネーロンダリング対策のチェックなどのコンプライアンスツールも提供する。
- この動きの背景には、機関投資家が日常業務でトークン化資産やステーブルコインを取り入れる動きが加速している状況がある。
世界的テクノロジープロバイダーであるIBMは、複数のブロックチェーン上でデジタル資産を安全に管理したい銀行や政府、大企業向けに設計した新たなプラットフォームを発表し、暗号資産(仮想通貨)への進出を強化する。
IBMは27日のプレスリリースで、「IBMデジタル・アセット・ヘイブン(IBM Digital Asset Haven)」は40以上のパブリックチェーンとプライベートチェーンでカストディ(保管)、取引ルーティング、決済を提供することを目指していると述べた。これには、APIや開発者ツールを通じて統合された本人確認やマネーロンダリング対策のチェックなどのコンプライアンスツールも含まれる。
このプラットフォームのSaaS版は2025年第4四半期に稼働開始予定で、2026年第2四半期にはサポートの拡大が予定されている。
この動きの背景には、ステーブルコインやトークン化された現実資産(RWA)の導入を検討する金融機関や企業が増えている状況がある。こうした企業の目的は、従来の銀行決済網よりも安価かつ迅速で、摩擦なく国境を越えた資金や資産の管理や移転を行うことにある。
IBMはプレスリリースで、「トークン化資産とステーブルコインの採用が拡大する中、機関は進化を求められている」とし、「デジタル資産領域は、金融機関が製品ポートフォリオを近代化させる上で重要な機会をもたらしている」と述べた。
IBMのプラットフォームは、機関顧客向けに1500万以上のウォレットを作成した暗号資産ウォレットインフラ企業であるDfnsとの協業によって構築された。IBMのハードウェアレベルのセキュリティとDfnsのカストディ技術を組み合わせ、マルチパーティ承認、プログラム可能なアクセス制御、クラウドやオンプレミス、コールドストレージ環境にまたがるハイブリッド展開オプションなどの機能に対応する。
Dfnsのクラリス・アジェージュ(Clarisse Hagège)CEOは、「デジタル資産を中核的な銀行業務や資本市場のシステムに統合するには、基盤となるインフラが従来の金融決済網と同じ基準を満たす必要がある」とし、「IBMとの協業で、カストディの枠を超えてデジタル資産エコシステム全体をまとめ上げるプラットフォームを構築した。これにより、デジタル資産がテストプログラムから世界規模の本格運用へ移行する道を開いた」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:IBM Unveils Digital Asset Platform as Demand for Tokenization, Stablecoins Grows


