IT大手のTISとレイヤー1ブロックチェーンAvalanche(アバランチ)の開発で知られるAva Labs(アバラボ)は10月28日、ステーブルコイン(SC)やセキュリティ・トークン(ST)の発行・管理を支援する「マルチトークンプラットフォーム」の提供を始めた。
このプラットフォームは、アバラボが提供するマネージド・ブロックチェーン基盤「AvaCloud」をベースに、EVM(Ethereum Virtual Machine)互換のスマートコントラクトに対応。企業が自社のSCやSTを安全、効率的に発行・運用できる環境を整え、オンチェーンならではの新たな金融ビジネスモデルの創出・普及を目指す。
トークンの発行・管理機能に加え、高い安全性や内部統制を求められる秘密鍵の保護やアクセス制御などのガバナンス機能も備える。既存の金融・決済システムとの連携を視野に、金融機関や事業会社が安心してブロックチェーンを活用できる仕組みを目指す。
TISは国内の金融・決済システムで培った知見を活かし、基盤設計や導入・運用支援を担う。一方、アバラボはブロックチェーン技術とトークン化のノウハウを活用した基盤提供と技術サポートを行う。
両社は2024年6月から協業を開始し、ステーブルコイン領域での共同実証や開発などを進めてきた。今回のサービス開始はその成果を踏まえたもので、今後は銀行をはじめとする金融機関での導入や自社アセットのトークン化を検討する事業会社への展開を目指す。
リリースによると、ステーブルコインやセキュリティ・トークンに関するマルチアセットや機能拡張の開発などに継続的に取り組む方針だという。
米国では今年7月、包括的なステーブルコイン規制を定めた「ジーニアス法」が成立したほか、国内でも10月27日に初の日本円建てステーブルコイン「JPYC」が発行された。加えて、セキュリティ・トークンも不動産や社債を中心に発行が進むなど、企業によるトークン化の需要が高まっている。
|文:橋本祐樹
|画像:「マルチトークンプラットフォーム」の展開イメージ:リリースより


