大阪・関西万博のキャッシュレス決済を支えた「EXPO2025デジタルウォレット」の後継「HashPort Wallet」が、本日31日23時頃に正式に誕生する見通しであることがわかった。
これは同社の吉田世博代表取締役CEOが自身のXアカウントで明らかにしたもので、18時からのメンテナンスを経て新ウォレットが利用可能になるという。

さらに、この新ウォレットがサービス開始当初から日本円ステーブルコイン「JPYC」に対応することも判明した。
HashPortはこれまで、万博会場で流通した「EXPOトークン」と米ドル連動ステーブルコイン「USDC」との交換実験などを実施してきた。
これらの実績について、同社の吉田氏は28日に大阪で開催された「アフター万博」をテーマにしたイベントにおいて「ステーブルコイン流通を担うための決済インフラとしての実験は一通り完了できた」と発言していた。
こうした実績を踏まえ、27日に国内で初めて発行が開始された円建てステーブルコインへの迅速な対応に踏み切った形だ。
JPYCの利用には、ユーザー自身が秘密鍵を管理するノンカストディアル型のウォレットが前提となる。
100万ダウンロードの実績を持つ「EXPOウォレット」の後継サービスがローンチ直後からJPYCに対応することで、一般利用者が円建てステーブルコインを扱う上でのハードルが大きく下がり、普及に向けた重要な一歩となる可能性がある。
なお、このリニューアルに合わせて、JPYCの利用を促進するキャンペーンも実施される。

ウォレットにログインし、所定のSBT(譲渡不可のNFT)を取得したユーザー全員に200円相当のJPYCを配布するもので、配布総額は最大1億円にのぼる。
HashPort Walletは、JPYC対応のほかにも、Aptos、Ethereum、Polygon、Baseといった複数のブロックチェーンに対応するマルチチェーン機能や、特定の条件下でネットワーク手数料が不要になるガスレス機能の実装も予定している。
同社の吉田CEOは、今後の展望として「万博を起点として、日本のWeb3社会実装における一つのスタンダードになっていきたい」と述べており、今回のJPYC対応は、その構想を実現するための具体的な動きと言える。
|文:栃山直樹
|画像:記者撮影(10月28日、イベントで登壇する吉田代表)


