株式を24時間、1円単位でオンチェーンで売買へ──「大旋風」の株式トークン化に向け、金融事業者が共同検討

「あらゆる資産をオンチェーン化する」「大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)をトークン取引所にする」とSBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏は講演や決算発表会で語っている。そうした取り組みが実現に向けて動き出す。

デジタル資産の発行・管理基盤を提供するProgmat(プログマ)が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム」(DCC、会員組織数315)は11月4日、あらゆる有価証券をブロックチェーン上(オンチェーン)で権利移転可能とし、セキュリティ・トークン(ST)化のメリットを最大化することを目的とした「トークン化法・株式STワーキング・グループ(WG)」を設置し、共同検討を開始すると発表した。

DCCには、SBI証券やODXをはじめ、アセットマネジメント会社、信託銀行、証券会社など、株式取引に関わる主要な金融事業者が参加予定だ。

グローバルで注目を集める「株式ST/トークン化株式」

グローバルでは、MMFなどの金融商品のトークン化が進み、株式のトークン化が新たなステップとして注目を集めている。

例えば、RWA(現実資産)トークン化大手の米Securitize(セキュリタイズ)は、SPAC上場に向けた取り組みとともに「自社株式をトークン化」する計画を発表。リリースに「企業上場のプロセスや株式取引をオンチェーン上で行えることを実証する、業界初の試みとなります」と記している。

関連記事:セキュリタイズ、評価額1900億円でSPAC上場へ──自社株式のトークン化も発表

日本では不動産ST、債券STの市場が拡大しているものの、株式のセキュリティ・トークン化/トークン化株式は、すでに高度なシステム、すなわち「証券保管振替機構(ほふり)」と、大手証券会社からネット証券まで、さまざまなプレーヤーが参加する成熟した市場が存在していることから、ハードルが高いと見られていた。

〈リリースより〉

だがDDCは10月、「トークン化MMF」の実現に向けて、「オンチェーン完結型STワーキング・グループ(WG)」の共同検討の結果をまとめた報告書を公表。次はいよいよ、株式ST/トークン化株式という金融の「本丸」とも言える領域に向けて動き出したようだ。

関連記事:ステーブルコインと連携可能な「トークン化MMF」、国内でも組成へ──Progmat、オンチェーン金融の活性化に向けた報告書発表

共同検討では、現状のアナログな規制(例えば、券面発行など)を包括的に解決するための「トークン化法」立法に向けて、民間主導で枠組み/素案を策定。さらにトークン化による効用が置き換えコストを上回る領域の特定と商品/制度設計を行うことで、トークン化株式の具体的な商品組成を目指すという。

〈リリースより〉

2025年11月にキックオフ、2026年3月に「報告書」「トークン化法(素案)」をまとめて公表し、報告書を踏まえた個別のトークン化株式商品組成プロジェクトを2026年春から実施することを目標としている。

株式/投資信託のトークン化は「大旋風」──ステーブルコインとも連携か

新NISAや好調な株式市場を背景に、投資への関心は高まっている。証券各社はサービスの強化に努めているが、それでも日本の株式市場には取引単位が大きい、取引時間が限られているなどの制約がある。今回の共同検討が実現すれば、株式が「24時間」「1円単位」で取引できるようになる。

Progmat代表取締役 Founder and CEOの齊藤達哉氏は、今回もリリース発表にあわせて、noteで1万字を超える詳細な解説を公開。その中で齊藤氏は、「日本の株式市場の現状と課題」として、個人投資家の割合は「1985年頃からほぼ横ばいで、17%近傍のまま」であり、日本の株式市場のメインプレーヤーは「外国法人等」と指摘。個人投資家の数は増えているものの「「少額投資」の環境整備が他国比で遅れている」と記している。

詳細はnoteに譲るが、少額取引、24時間取引、企業と株主との関係性の強化(ファン株主化)などを実現できるのが株式ST/トークン化株式とし、「不動産STで切り開いてきたST市場が“そよ風”だとすると、株式/投資信託のトークン化は“大旋風”」と位置づけている。

またリリースでは触れられていないが、先日報道された「3メガバンク共同ステーブルコイン」との連携は当然、想定されるだろう。

ブロックチェーン上(オンチェーン)で株式ST/トークン化株式を取引し、ステーブルコインで決済する──2026年春、株式ST/トークン化株式として、どんな銘柄が登場するのか。その際、決済にはステーブルコインが使われているのか。さらには発行から1週間で発行量が1億を超えたJPYCは使えるのか。金融の新たなフェーズの幕開けに期待と関心が高まる。

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|文:増田隆幸
|画像:リリースより

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