- ビットコインは10年ぶりの最悪の10月を経て、11月に入っても10万5000ドルを下回り、厳しい状況でスタートした。
- 暗号資産市場の時価総額は1000億ドル減少し、イーサリアムやソラナといった主要な暗号資産は大幅に下落した。
- FRBの最近の慎重なメッセージは、市場全体でリスク回避の動きを強めている。
ビットコイン(BTC)は10月に10年ぶりの大幅下落を記録した後、11月も圧迫された状態で始まった。先週のアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の決定を受けて主要暗号資産(仮想通貨)の売りが広がり、11月4日早朝にBTCは10万5000ドルを下回った。
過去24時間でBTCは2.8%下落し、イーサリアム(ETH)は6%安の約3630ドルとなった。ソラナ(SOL)は10%下落して160ドルを下回り、下落幅を7日間で20%超に拡大した。バイナンスコイン(BNB)は6.4%下落、エックス・アール・ピー(XRP)は5%下落し、ドージコイン(DOGE)とカルダノ(ADA)はそれぞれ約6%下落した。
この広範な下落により、暗号資産市場の時価総額はさらに1000億ドル(約15兆円、1ドル=150円換算)減少し、現在は3兆6000億ドル(約540兆円)付近で推移している。
FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は「暗号資産市場は局所的な底値を突破しようとしている」と指摘した。「ビットコインが200日単純移動平均線(SMA)を繰り返し試す動きは、サポート基盤の脆弱さを示しており、さらなる下落の可能性も排除できない。とはいえ、4月のパターンと同様の構造であれば、買い手が近く足場を固め、再び上昇に転じる可能性もある」と述べた。
10月の4.5%の下落は、ビットコインの長い「アップトーバー(Uptober)」の連勝記録を断ち切り、マクロ経済に対する警戒感がどれほど戻ってきているかを浮き彫りにした。先週のFRBによる0.25%の利下げは広く予想されていたが、ジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が12月の利下げは保証されていないとほのめかしたことで、リスク選好は抑制された。
SynFuturesのCEO兼共同創設者レイチェル・リン(Rachel Lin)氏は、「ビットコインが7年ぶりに 10 月に下落したのは確かに注目に値するが、私はこれを構造的な反転というよりも、健全なリセットだと考えている」と述べた。「現在の反落は、より広範な上昇トレンドの中での調整のように感じる。長期保有者は依然として買い増しを続けており、ETF(上場投資信託)への資金流入も安定しているからだ」。
FRBのデータによると、11月3日に294億ドル(約4兆4100億円)のレポ取引が行われた。これは2020年以来の規模であり、アメリカの銀行システムに短期的な流動性を注入し、より広範なリスク選好の安定化に貢献した。量的緩和への回帰ではないものの、この動きは政策担当者が流動性ストレスに引き続き注意を払っていることを示している。
歴史的に11月はビットコインにとって最も強い月のひとつであり、過去12年間で9回上昇している。この季節的な傾向が持続するかどうかは、トレーダーがどれほど早く確信を取り戻すか、そしてFRBの「ソフト・ピボット」が暗号資産への新たな資金流入につながるかどうかにかかっている。

今回の下落は、株式市場と商品市場にわたる全体的なリスク回避姿勢が広がる中、投資家がFRBの慎重なメッセージと継続する地政学的不確実性を再評価していることを反映している。
一方、S&P500先物は4日に下落し、ゴールド(金)は4400ドル付近の過去最高値から下落を続け、先月の安全資産需要による上昇分の一部を失った。国債利回りは、FRBの流動性供給で一時的に低下した後、安定している。
週末のオーダーブックが薄く、レバレッジをかけたロングポジションの積極的な解消が進んだことで、下落局面が拡大した。過去48時間で12億ドル(約1800億円)超の清算が記録されている。資金調達率(ファンディングレート)は正常化したものの、ポジションは依然としてディフェンシブだ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ether, Solana, XRP Drop 8% in Fresh Move Lower, But Bitcoin Could See a Bullish November


