- イーサリアムは2日間で20%以上急落し、10月10日の暴落時と同程度の落ち込みとなった。
- この急落により、2日間で約10億ドルの清算が発生し、レバレッジをかけたイーサリアムデリバティブトレーダーを壊滅させた。
- 10xリサーチ(10x Research)のアナリスト、マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、ETF(上場投資信託)への資金流入や、個人投資家・デジタル資産トレジャリー企業からの需要が減少する中、2700~2800ドルまで下落するリスクがあると指摘した。
イーサリアム(ETH)は、11月4日にかけての2日間で20%以上急落し、10月10日の暴落を彷彿とさせる展開となっている。
時価総額第2位の暗号資産(仮想通貨)であるイーサリアムは、米国時間3日午前の早い時間に4000ドルをわずかに下回る水準で取引されていたが、4日午後には3000ドル近くまで急落し、7月中旬以来の安値を記録した。
これは、ひと月で2度目の深刻な調整である。10月10日のフラッシュクラッシュでは、イーサリアムは前日の4500ドル手前から、3440ドルまで25%急落した。
イーサリアムは小幅な反発後、当記事執筆時点では3200ドルをわずかに上回る水準で取引されているが、過去24時間では依然として9.4%下落している。
コイングラス(CoinGlass)のデータによると、この急落によりレバレッジ型イーサリアムデリバティブ市場で9億7000万ドル(約1500億円、1ドル=153円換算)超の清算が発生した。イーサリアムが支持線を次々と割り込む中、清算されたポジションの大半はロング(価格上昇を予想する取引)だった。
10xリサーチの創設者マーカス・ティーレン氏は4日発表のレポートで、イーサリアムのブレイクダウンにより下値支持線が弱まり、さらなる下落余地が生じていると警告した。
過去数カ月間着実にイーサリアムを買い増してきた最大手のイーサリアムトレジャリー企業ビットマイン(BitMine)は、イーサリアムを購入する余力がほぼ枯渇しているようだ、とティーレン氏は指摘した。
ビットマインは約340万ETHを蓄積しており、ティーレン氏の推定では同社の取得原価は約3909ドル。これは、約20億ドルの未実現損失を抱えていることを意味する。
「直近の清算リスクはないものの、真の懸念はビットマインの資金力が枯渇した今、次にイーサリアムを追加購入する主体が誰になるかだ」と、ティーレン氏は述べた。
ETF需要も減退している。ビットマインが買い増しを進めた7月と8月には流入額が95億ドルに達したが、その後は枯渇したとティーレン氏は指摘。10月の暴落以降、イーサリアムETFから流出したのはわずか8億5000万ドルで、現在の価格水準では多くのETF投資家が含み損状態にあるため、さらなる売り圧力の余地が残されている。
個人投資家からの関心も急速に減少しているとティーレン氏は指摘する。個人需要の指標となるグーグル検索トレンドでは、イーサリアム関連の検索がピーク時の13%まで低下している。
8月にイーサリアム価格を5000ドル近くまで押し上げたすべての要因が消滅した今、ティーレン氏は2700~2800ドル台が次なる着地点となる可能性が高いと見ている。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:11月4日のイーサリアムの値動き(CoinDesk)
|原文:Ether’s 20% Freefall Triggers $1B Liquidation Cascade as Crypto Losses Accelerate


