英、個人投資家への仮想通貨デリバティブ提供禁止へ──だが業界大手が楽観的な理由

英、個人投資家への仮想通貨デリバティブ提供禁止へ──だが業界大手が楽観的な理由

最大手の仮想通貨デリバティブ・プラットフォームであるにもかかわらず、イートロ(eToro)の幹部は、個人投資家への販売禁止というイギリス政府の提案を心配していないと語った。

イギリス、個人投資家へのデリバティブ提供を禁止へ

ロンドン中心部のかつては銀行だったレストランで朝食を取りながら、イートロのイギリス担当マネージングディレクターを2016年から務めるイクバル・ガンダム(Iqbal Gandham)氏は、個人投資家に対するすべての仮想通貨デリバティブ商品の販売を禁止するというイギリス政府の決定は、同社のビジネスに「最小限」の影響しかもたらさないだろうと語った。

世界中に1000万人以上のユーザーを抱えるイートロは、世界最大級の取引プラットフォーム。だがガンダム氏は、同社は個人投資家の態度の変化に気づいたと語った。すなわち、個人投資家は実際に仮想通貨を購入し、自らが所有するウォレットに移せることに価値を置いている。

「2年前、人々は現物(資産)とデリバティブを理解していなかった。ただ単にビットコインを買っていると考えていた。現在、人々は自分でウォレットを所有し、仮想通貨をそこに移動させることをより心地よく感じている。もし移動できなければ、それは現物ではないということを理解している」とガンダム氏は語った。

デリバティブは個人投資家には不適切

イギリスの金融行動監視機構(Financial Conduct Authority:FCA)は昨年夏、差金決済取引(CFD)を含む仮想通貨デリバティブ商品の「すべての個人投資家に対する販売、宣伝、分配」を禁止する計画を発表して業界を驚かせた。

当時FCAは、個人投資家はそうした商品には「不適切」と述べた。その理由は、個人投資家は「デリバティブ商品、あるいは特定の仮想通貨に連動する(指標連動証券)の価値とリスクを確実に評価」できないというのがその理由だった。

ハーグリーブズ・ランズダウン(Hargreaves Landsdown)などの規制を受けたプラットフォームはすでに個人投資家への仮想通貨デリバティブ商品の販売を禁止しているが、FCAの最終決定は今年後半になると見られている。

イートロが最初にビットコインの差金決済取引(CFD)を提供したのは2014年。取り扱う商品数を徐々に増やしていったが、ユーザーが原資産を購入できるようになったのは2017年9月だった。

「この質問を2016年か2017年にされていたとしたら、『本当に大きな影響で、我々は事業の変化させる必要がある』と答えていただろう」とガンダム氏は語った。イートロの顧客の大半は現在、CFD商品よりも原資産となっている仮想通貨を購入している。

イートロは現在、個人投資家に仮想通貨、もしくは最大レバレッジ2:1で仮想通貨CFDを提供している。同社広報担当者は、イートロの個人ユーザーの約87%は仮想通貨を購入しているとCoinDeskに語った。2020年1月、その数は90%に上昇した。

個人投資家に応えるという意味では、イートロは「デリバティブ市場から離れつつある」とガンダム氏は述べた。

イートロはなぜ楽観的なのか?

予定される禁止に対してイートロのような楽観的な態度を示す仮想通貨デリバティブ提供業者はほとんど存在しない。ヨーロッパ最大級の仮想通貨デリバティブ開発企業XBTプロバイダー(XBT Provider)のオーナーで、コインシェアーズ(CoinShares)のエグゼクティブチェアマンのダニエル・マスターズ(Daniel Masters)氏は、同社はFCAの提案に「激しく抵抗」したと述べた。

2019年第4四半期に設けられた協議フェーズの間、コインシェアーズは禁止に反対するキャンペーンの先頭に立ち、FCAは都合の良いデータを選び出し、デリバティブについての全体的な「理解が欠如」していると批判した。

「そうした商品を禁止することは多くの悪影響をもたらす」とマスターズ氏はCoinDeskに語った。さらに禁止は「投資家を保護するものではなく」、投資家保護をほとんど、あるいはまったく提供しない海外の提供業者へと追いやることになると付け加えた。

ガンダム氏も、禁止は投資家保護にとって最終的に悪影響をもたらす可能性があることに同意した。「(個人投資家に対する仮想通貨)デリバティブの禁止の根拠を理解できない」とガンダム氏は述べた。全面禁止は地下取引や海外取引を促し、消費者をよりリスクにさらす可能性が高いからだ。

だがガンダム氏は、今回の禁止はイギリスの仮想通貨取引に限定的な影響しか与えないと確信している。同氏の見解では、仮想通貨デリバティブは機関投資家やプロのトレーダーに適したもので、彼らは禁止による影響を受けず、現物を保有することは負担になる。

もちろん、ビットメックス(BitMEX)のようなプラットフォームで100倍のレバレッジを求める個人投資家は必ず少数存在するとガンダム氏は述べた。しかし同氏は、イートロの顧客は大部分が長期顧客だが、禁止が実施されてもその変化にすら気付かないだろうと考えている。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Iqbal Gandham (center), eToro’s UK managing director. Image courtesy of eToro
原文:Retail Investors Aren’t Interested in Crypto Derivatives, Says eToro Executive

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