北朝鮮、モネロのマイニングを活発化──制裁回避が容易に

北朝鮮は制裁を回避する方法を探っており、匿名性の高い仮想通貨モネロ(XMR)のマイニングを強化している。

アメリカのサイバーセキュリティ企業レコーデッド・フューチャー(Recorded Future)が2月9日(現地時間)に発表したレポートによると、北朝鮮のIPからのモネロ(XMR)マイニングのネットワークトラフィックは2019年5月以来「少なくとも10倍」に増加している。モネロは北朝鮮のマイニングにおいて最も人気の仮想通貨となり、ビットコインを超えたようだ。

レポートは、この変化はモネロのマイニングは専用マシンでなくても可能という事実が原因と考えている。つまり、運用コストが低い普通のコンピューターを使うことができ、海外からマイニングマシンを輸入する必要はない。

またモネロによる決済は匿名性があり、北朝鮮にとって「資金の追跡を回避すること」が容易になる。同様にアメリカと国連安全保障理事会が同国に課している制裁の回避も容易になる。

「モネロは北朝鮮にとって、独立性のある、規制の緩い収入源として価値あるツールになっていると考えられる。また不正に手に入れた資金の移動や使用の手段にもなっている」

北朝鮮のマイニングはプロキシサーバーを使ってIPアドレスを隠蔽しており、アナリストはモネロのハッシュレートにおける北朝鮮のシェアを確定できなかったとレポートは記した。

また、国連の以前の調査では北朝鮮軍の部隊が同国の仮想通貨マイニングを担っていると示唆したが、レコーデッド・フューチャーの調査では収集したデータからマイニングを行っている組織は特定できなかった。

北朝鮮は少なくとも2017年8月からモネロを利用している。ワナクライ(WannaCry)攻撃に関与した工作員が奪ったビットコインをモネロに交換した時だ。レポートによると、北朝鮮のビットコイン・マイニングはこの2年、比較的沈静化している。

モネロは多くの不法組織や犯罪組織に好まれている仮想通貨。トレンドマイクロは2020年2月上旬、謎に包まれたハッキンググループ「アウトロー(Outlaw)」は精巧な仮想通貨マイニングボットを開発し、企業のコンピューターシステムに侵入してモネロを密かにマイニングしていると発表した。

1年前には仮想通貨マルウェアはモネロ全体の約5%をマイニングしたと推定された。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:North Korea Is Expanding Its Monero Mining Operations, Says Report