半減期後、ビットコイン価格上昇の確率は低い──オプション市場の評価

ビットコインオプション市場の評価によると、2020年5月の半減期後にビットコイン価格が上昇する確率は低い。

9月末に8000ドル超の確率は50%

ビットコインは現在、8800ドル付近で取引され、年初から20%上昇している。

一方、仮想通貨デリバティブリサーチ企業スキュー(Skew)によると、オプション市場は9月末に価格が8000ドル(約87万円)を超えている確率を50%と見ている。

つまり、オプショントレーダーは、価格上昇につながるとされる半減期の4カ月後にビットコインが8000ドル超で取引されるかどうかに確信が持てないでいる。

ビットコインが1万ドル付近で取引されていた1週間前には、確率は65%だったとスキューの共同創業者兼最高執行責任者(COO)、エマニュエル・ゴー(Emmanuel Goh)氏はCoinDeskに語った。

オプションとは、買い手と売り手の間の契約を取引するデリバティブ(金融派生商品)で、買い手に特定の日付の当日またはそれ以前に、原資産を特定の値段で売買する権利を与える。ただし義務ではない。コールオプションは保有者に買う権利を、プットオプションは売る権利を与える。

ビットコインは2020年5月、3回目となるマイニング報酬の半減期を迎える。その名の通り、マイニングされたブロックごとの報酬は現在の12.5BTCから6.25BTCへと半減される。半減期は4年ごとに行われ、ビットコインのインフレを抑えることが狙いだ。

少なくともビットコインアナリストの間で一般的な見解によると、報酬の半減期は供給不足を生み出し、ビットコインは2万ドルを超える史上最高値に向かうと考えられている。

「約200日すると(半減期まで69日)、ビットコインの購入は地球の人口の99.8%にとって不可能となる」とモーガン・クリーク・デジタル(Morgan Creek Digital)の共同創業者兼パートナー、ジェイソン・ウィリアムズ(Jason Williams)氏は3月1日にツイートした。

過去のデータは、2012年と2016年に行われた過去の半減期に続く数年、ビットコイン価格は急激に上昇したことを示している。

2021年にビットコイン価格が上昇することで歴史は繰り返すかもしれないが、オプション市場は2020年の大幅な上昇の確率は低いと見ている。

ビットコインが行使日までにある価格を超える確率
出典:Skew

オプション市場は、ビットコインが6月末までに2万ドル超の史上最高値を記録する確率を3%と見ている。また9月末までに史上最高値を更新する確率は現在6%となっている。

ビットコインが6月末までに2019年6月の高値1万3880ドルを超え、(先行した弱気市場における安値からの高値である)市場サイクルの最高値を更新する確率はわずか11%だ。

9月末に1万4000ドル超となる確率は現在、16%となっている。

これらの確率は、コールオプション価格、ビットコインの現在の価格、オプションの権利行使価格(ストライクプライス)、リスクフリー金利、オプションの行使日といった主要指標に基づき、ブラック–ショールズ方程式の使って計算された。

半減期は必ずしも強気要因ではない

オプション市場の確率は2019年8月5日の半減期の後、保有資産の価値が急激に下がったライトコイン(LTC)投資家にとっては驚きではないはずだ。

半減期当日、ライトコインは100ドル超で取引されていた。しかし、12月までにライトコインの価格は50ドル以下まで下落した。

ハッシュレート(ブロックチェーンでトランザクションを認証するために必要な演算能力)も12月までの5カ月間で70%減少した。半減期とそれに続く価格下落はマイニングの採算性を削り取ってしまったからだ。小規模で非効率的なマイナーはマイニングの停止、あるいは他の仮想通貨のマイニングへの移行を余儀なくされた。

半減期前の上昇か

レクト・キャピタル(Rekt Capital)によると、歴史的にはビットコインは半減期の年に新しい市場サイクルトップを更新してきた。だが、それは半減期の前の話だ。

例えば、2013年12月の高値1150ドルからのビットコインの弱気市場は、2015年1月に150ドル付近で勢いを失った。ビットコインはその後、2015年11月に502ドルの高値まで上昇し、強気の反転を裏付けた。

価格はその後、2016年2月に365ドルまで下落し、6月──2016年7月の報酬半減期の1カ月前には、778ドルの新しいサイクルトップを更新した。

2016年6月の778ドルの高値は、150ドルの弱気市場の安値からの最高値だったが、2013年12月の(当時の)史上最高値1153ドルにははるかに及ばなかった。

同様の値動きは2012年の半減期に先立つ数カ月にも見られた。

もし同じことが再び起こるなら、ビットコインはこれからの2カ月で2019年6月の高値1万3880ドルを超える新しいサイクルトップを更新することになる。しかしオプション市場は、歴史が繰り返す可能性は低いことを示している。

現在、オプション市場は3月末までにビットコインが1万4000ドルを超える確率はわずか3%と見ている。

3月に1万ドルを超える確率も21%と非常に低くなっている。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Bitcoin’s Option Market Sees Low Chance of Post-Halving Rally