ビットコイン、再び5000ドル割れ——FRB利下げも下落軌道

コロナウイルスの流行を受けた市場の不透明性によって、米連邦準備制度理事会(FRB)が金利をゼロに切り下げたにも関わらず、ビットコインは5000ドル(約53万円)割れまで値下がりした。

CoinDeskのビットコイン・プライス・インデックスによれば、ビットコインは、ヨーロッパでの取引が開始されるとともに、5000ドルを割った。16時(日本時間)の直前に心理的な節目となる5000ドルを割った後、17時(日本時間)には4500ドル(約48万円)を割る目前まで迫り、24時間で16%値下がりした。

他の仮想通貨も2桁の値下がりを見た。当記事執筆時点は、イーサ(ETH)は18%以上の値下がり、リップル(XRP)は15%、ライトコイン(LTC)は16%値下がりした。コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)によれば、デジタル資産クラスの時価総額の合計は、3月15日午前以来200億ドル(約2兆円)以上下落した。

中央銀行の刺激策も奏功せず

今回の急落は、FRBが3月15日夜(現地時間)、世界経済にコロナウイルスが与えた影響に揺さぶられた金融市場をサポートするために様々な措置を発表してから数時間後に発生した。

主要な対応策の1つは金利の緊急切り下げで、今回は2015年以来最低水準となる0.0〜0.25%への切り下げとなる。さらに、7000億ドル(約75兆円)に及ぶ米国債の買い入れも行う。この発表を受けて、日本、オーストラリア、ニュージーランドなどの中央銀行も、独自の経済刺激策を発表した。

2008年の金融危機以来最大の介入であるにも関わらず、起こり得る不況の影響を抑える中央銀行の能力に対する市場の信頼が低下する中、資産クラスを問わず大規模な急落は続いた。

今回の危機において、ビットコインの値動きは従来型の金融市場の値動きと一致しており、安全な避難先資産であるという人気のある言説に反している。ビットコインはFRBの発表直後から14%も値上がりしながらも、すぐに軌道修正し、強力な下落軌道へと戻っていった。

ビットメックスの清算が影響?

イートロ(eToro)のアナリスト、アダム・ベテッセ(Adam Vettese)氏は3月16日、覚書の中で、「仮想通貨の2桁の値下がり」は投資家が「リスク資産を先入観なしに手放し」始めて起こったと述べた。

一方、コインゲッコー(CoinGecko)のCOO、ボビー・オン(Bobby Ong)氏はCoinDeskに対し、「私の見解では、今日の5000ドル割れの値下がりは(仮想通貨デリバティブ取引所)ビットメックス(Bitmex)での清算が原因です。ビットメックスには50%の値下がりがあった先週の凄まじい急落からの未処理の清算が大いに溜まっていると信じるトレーダーがいます」と述べた。

報道された通り、3月12日のビットコイン価格の急落は、ビットメックスで過去16カ月で最大のロングとショートの清算を引き起こした。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:Bitcoin Sinks Below $5K Despite Fed Reserve’s Slashing of Interest Rates