資金洗浄対策、6月FATF期限に向け邁進するカナダ──仮想通貨への監視強化

カナダの金融犯罪監視機関は、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF: Financial Action Task Force)による2020年6月の期限に先立ち、新たな幅広い仮想通貨への監督能力を実装する準備を進めている。

3月上旬に発表された部門レポートによるとカナダ金融取引報告分析センター(FINTRAC)は6月1日(現地時間)付けで新たな規則を施行し仮想通貨会社や取引及び活動に対してより厳密な規制を始める。

「直近の主要な優先事項は、近時の法改正から生じる新たな規制の実施です」とレポートで述べるFINTRAC は仮想通貨業界での新たな監督を行う。

昨年6月にカナダの金融犯罪フレームワークの修正案が可決され、カナダでは広範な権限が「マネーローンダリング/テロ資金供与防止(AML/ATF)制度の強化」を生み出すと「期待」されているとレポートにはある。FINTRAC はアメリカにおける金融犯罪捜査網(FinCEN)に相当する組織だ。

新たな規制では1万カナダドル(約76万円)の仮想通貨活動を行う企業は金融サービス業としての登録が要求されるなどが主だった内容だ。企業は1000 カナダドルを超える仮想通貨取引では、場合によっては送信者と受信者の名前、住所、生年月日、電話番号、仮想通貨の種類を文書化する必要がある。1万カナダドル以上の取引にはより膨大な文書化が要求される。

今回の修正案では、違反者は大部分は「軽微な」違反に分類される。

仮想通貨に関する修正案は、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)が2015年から2016年に行った評価で、仮想通貨のアンチマネーロンダリング(AML)及びテロ資金供与防止(CFT )のフレームワークが「不十分」だとする厳しい評価に応えてのものだ。FATFのメンバーとしてカナダは一定の基準を満たすことが期待されている。

FINTRACは同レポートでこの「期待」をほのめかし、「全体の立法と政策のフレームワークは国際的な期待に対応しつつも、カナダの利益にかなうものでなければならない」としている。

他の国や取引所もまた、FATFによる6月の期限に間に合うよう迅速に取り組んでいる。

翻訳:下和田 里咲
編集:T.Minamoto
写真:FATF blasted Canada’s “deficient” crypto AML framework in its 2016 report. The new regulations are about to arrive. (Image via Shutterstock)
原文:Canada’s Financial Crimes Watchdog Gets Ready for FATF Compliance