リーマンショック、ブラックマンデー……映画で学ぶ「金融危機」【コロナショック】

リーマンショック、ブラックマンデー……映画で学ぶ「金融危機」【コロナショック】

#STAYHOME の掛け声の下、仕事はテレワーク、休日も外出自粛で、「自宅で過ごす時間が増えた」という人は多いだろう。その原因であるコロナウイルス感染拡大は株式相場を大荒れにした。2020年3月の株価急落は、リーマンショックと比べられるほどの出来事だ。自宅時間にNetflixやHulu、Amazonプライムなどで映画やドラマを見ている人も多いはず。そこで、過去の金融危機について学べる映像作品をまとめてみた。

「BCCI事件」(1991年)──ルクセンブルク籍の銀行による粉飾事件

1991年のBCCI事件とは、ルクセンブルクの銀行BCCI(Bank of Credit and Commerce International、国際業業信用銀行)が粉飾決算を理由に、欧州各国の監督当局から営業停止・資産凍結の処分を受けたというもの。外国に保有していた資産も凍結されたため、同行と外為取引をしていた銀行(日本の銀行も含む)などが買い入れ通貨を受け取れなかった。

『ザ・バンク 堕ちた巨像』(2009年)

『ザ・バンク』で登場する銀行は、ちょっともじったIBBC。世界中から莫大な資金が集まる欧州の巨大銀行に、ある違法行為の疑惑が持ち上がる。インターポールの捜査官と米ニューヨーク検事局の検事補は共同で捜査に乗り出すが、手がかりとなる人物が次々に暗殺されてしまう。主演は、最近では『ジェミニマン』にも出演したクライブ・オーウェン、『ザ・リング』『21g』のナオミ・ワッツ。原題は”The International”。監督はトム・ティクヴァ。117分。

「ベアリングス事件」(95年)──日経平均先物の架空取引で英投資銀行が倒産

1995年、イギリス最古のマーチャントバンクであり、“女王陛下の銀行”と呼ばれた、王室御用達のベアリングス銀行が、シンガポールで発覚したトレーダー、ニック・リーソンによる巨額な損失をともうなう不正取引で破たん。オランダ金融最大手のINGに1ポンドで買収された事件だ。

事件の概要はこうだ。シンガポール国際金融取引所(SIMEX)で同行の先物取引部門責任者を任されたリーソンは、日経平均と日本国債のデリバティブ取引を中心に大きな利益を稼いでいたが、取引の不正処理や架空取引口座への入金、隠蔽工作のための(禁止されていた)自己売買で損失を拡大させた。犯罪が明るみに出た時点で、損失は約8.6億ポンド(約1,380億円)、当時のベアリングス銀行の自己資本金を超過する莫大な額に膨れ上がっていたという。

『マネートレーダー/銀行崩壊』(99年)

マネートレーダー/銀行崩壊

『マネートレーダー』は1999年にイギリスで公開された映画で、原作はリーソンの手記 『The Rogue Trader:How did I Down Barings Bank and Shook Financial World』。 96年にイギリスで出版、邦訳は97年に新潮社から『私がベアリングズ銀行をつぶした』(戸田裕之訳)として出版された。日本公開は2000年。『トレインスポッティング』『スターウォーズ』シリーズのユアン・マクレガーなど出演。原題は”Rougue Trader”。監督はジェームズ・ディアデン。104分。

「リーマンショック」(2008年)──サブプライムが引き起こした米国史上最大の倒産と”Too big To Fail”

2007年にアメリカの住宅バブルが崩壊、サブプライムローン危機が表面化すると同時にさまざまなわ資産価格が暴落した。住宅市場が大幅に悪くなり、ファニー・メイやフレディ・マックなど(連邦住宅抵当公庫)には政府による様々な救済策が講じられる。08年9月には財務省が追加で約3兆ドルをつぎ込む救済政策が決定。「大き過ぎて潰せない」の最初の事例となる。

1850年創立の名門投資銀行リーマン・ブラザーズが08年9月15日(月)、連邦倒産法第11章の適用を連邦裁判所に申請、世界的な金融危機へと連鎖した。日経平均株価も大暴落、9月12日(金)の終値は1万2,214円だったが、10月28日には一時は6,000円台まで下落。82年10月以来、26年ぶりの安値を記録した。

『マージン・コール』(2011年)

『マージン・コール」の舞台は、ウォール街のとある大手投資銀行。非公表の大量解雇が断行され、リスク管理部門の責任者がUSBメモリーを部下に手渡す。その中には、会社が総資産を超える損害リスクのある大量の証券を保有していることを示唆するデータがあった。緊急役員会で議論の結果は、気づかれる前に不良資産を売りさばくこと。しかし現場は顧客や市場の信頼を失う売り抜けに反対するが……。出演はケヴィン・スペイシーなど。原題は”Margin Call”。監督はJ.C.チャンダー。107分。

『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』(10年)

ドキュメンタリー映画で、第83回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。原題は”Inside job”で、これはインサイダー取引など信頼を受ける立場の人間による内部犯行のことを指す。ポール・ボルカーやジョージ・ソロスなど金融業界の大物をはじめ、金融機関に勤務していた人たちや大学教授、ジャーナリストらへのインタビューなどで構成されている。ナレーターはマット・デイモン。監督はチャールズ・ファーガソン。109分。

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(15年)

マネー・ショート 華麗なる大逆転
© 2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

リーマンショック以前のサブプライム住宅ローン危機にフォーカスを当てたノンフィクション。住宅価格が上昇し、多くの投資家たちが高利回りの住宅ローン債権を買いあさる中で、バブル崩壊の兆しを読み取った投資家たちが、いかに巨額の利益を上げたのか。原題“The Big Short”の「ショート」は空売りのこと。原作は、マイケル・ルイス著の『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』。主演はクリスチャン・ベイル。ブラッド・ピット、ライアン・ゴズリングも出演。監督はアダム・マッケイ。130分。

『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』(09年)

キャピタリズム マネーは踊る

GMのリストラを取り上げるなど、社会派の作品を撮り続けてきたマイケル・ムーア監督がリーマンショックに迫ったドキュメンタリー。大きくなり続けよう、より大きな利益を出し続けようとする企業、資本主義のあり方を問う。監督本人が登場。原題は”Capitalism: A Love Story”となんともアイロニカル。127分。

「ブラックマンデー」(1987年)──双子の赤字とインフレ懸念、プログラム売買が引き起こした金融危機

1987年10月19日(月)、香港を発端に起こった世界的株価大暴落。NYダウ工業株30種平均は、1日で508ドル(22.6%)下落している。「双子の赤字」(財政赤字と貿易赤字)と抱えていたアメリカで、ドル安に伴うインフレ懸念が浮上したことが一因とされ、プログラム売買が株価の下落を加速させた。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)
© 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ブラックマンデーの様子を描いたというより、その後に証券マンが成り上がっていくというストーリー。株式仲買人となった初日にブラックマンデーに襲われ、証券会社が倒産。そこで株式仲買人となり、“クズ”のような非上場の店頭株を売り続け、手数料を稼いで成り上がっていく。原作はジョーダン・ベルフォートの 『ウォール街狂乱日記 – 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』。原題は”The Wolf of Wall Street”。主演はレオナルド・ディカプリオ。監督はマーティン・スコセッシ。179分。

「アジア通貨危機」(1997年)──韓国などがIMF管理下に

1997年7月よりタイから始まった、アジア各国の急激な通貨下落。もとをたどれば、アメリカのヘッジファンドなど機関投資家による通貨の空売りが原因とされる。東アジア、東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼし、タイ、インドネシア、韓国はIMFの管理下に。日本も緊縮財政と消費税増税のタイミングが重なったこともあり金融危機に陥る。日本長期信用銀行(長銀。後の新生銀行)と日本債券信用銀行(日債銀。後のあおぞら銀行)の国有化につながっていった。

『国家が破産する日』(18年)

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韓国経済が急成長を遂げる中、韓国銀行に務める主人公は通貨危機を予測する。政府は非公開で対策チームを招集するが、国家破産まで残された時間はわずか7日間しか残されていなかった……。原題は”Defalut”。主演はキム・ヘス。IMF専務理事役はヴァンサン・カッセル。監督はチェ・グクヒ。114分。

金融業界や金融機関を舞台にした映画・ドラマはこれら以外にも多数存在する。いずれコロナショックを題材にしたフィクション・ノンフィクションの映像作品も誕生するだろう。配信サービスが充実した今、契約しているサービスで見られるか確認のうえ、過去に学んでみてはいかがだろうか。

文・編集:濱田 優
画像:pixinoo / Shutterstock.com、各制作・配給会社、作品公式Webサイトなどより

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