自分をトークン化した23歳のフランス人──保有者が行動を決めるライフはありか?

自分をトークン化した23歳のフランス人──保有者が行動を決めるライフはありか?

23歳のフランス人男性、アレックス・マスメジ(Alex Masmej)は、自分自身をトークン化し、イーサリアムネットワークでそのトークンを分配して2万ドルを調達した。投資家に自分の人生を部分的に決めてもらうというわけだ。

トークンの保有者は、マスメジはジョギングをすべきか、野菜だけを摂取するべきかを決める。

奇妙な話に聞こえるが、マスメジはスタートアップ企業を成長させることのような大きなテーマを持っているという。

新型コロナウイルスが感染を広げる頃、マスメジはパリにいた。ノンファンジブルトークン・分散型金融(NFT-DeFi)のスタートアップ「Rocket」をはじめとする複数のプロジェクトに取り組むため、来年にはサンフランシスコに渡る予定だ。

マスメジが抱く自身のライフプランを聞いた。

──自分自身をトークン化した動機は?

マスメジ:私は成長し利益を生む、影響力を持つ会社を作り、世界を変えたいと思っている。人々にお金を稼ぐ能力を提供できれば、世界に素晴らしいサービスを提供することができるだろう。そのための最善の方法はテック系スタートアップを作ることだ。

暗号資産(仮想通貨)を選んだ理由は、AI(人工知能)や3Dプリンティングのスタートアップとは違い、参入障壁が非常に低いからだ。自分自身をトークン化し、自分の行動について投票してもらうのはユニークだと思う。ある意味、手軽で、面白くて、革新的な方法で資金調達をしたいと考えた。オーディエンスを知り、彼らを引き込み、議論を引き出す素晴らしい方法だ。10億ドル企業になれないことはわかっているが、面白い経験でトークン価格も上昇した。

──個人トークンを販売するイメージをどのように描いていますか?

マスメジ:「$ALEX」トークンの投資家は、すでに会社を保有し、私をサポートしたいと考えている暗号資産業界の創業者たちだ。私のツイッター(Twitter)には数千人のフォロワーがおり、私のエネルギーが好きで、若くて面白いと言ってくれる。私に投資して、私がどう成長するかを考えたいと思っている人が30人近くいる。私の時価総額は現在15万ドル前後。確かに暗号資産は信用できないが、個人トークンは私に対する信用で成り立っている。

──しかし、法的な枠組みはなく、証券取引委員会(SEC)のガイドラインもありませんね?

マスメジ:はい。個人トークンは証券ではない。リスクがあり、私が成功しない可能性を常に明確にしている。個人トークンはクラウドファンディングのようなもので、SECが関わるべきものとは考えていない。金額も少額だ。

私がこのトークンに関する会社を作るとしたら、訴訟リスクは気になる。もしかすると将来、トークンの仕組みにある程度の法的強制力があるプラットフォームを考えるかもしれない。

「まるで詐欺だ」と言う人もいるだろう。私の評判・信頼にかかっていると言えるだろう。私がコントロールし過ぎているという人もいれば、まったくコントロールできていないという人もいる。どちらにしてもよくないので、妥協点を見つける必要があると考えている。

──暗号資産では多くの人たちがプライバシーの強化を望んでいるが、あなたは自身の生活を世界中にオープンにしている。結婚に関して投資家に決めてもらうのですか?

マスメジ:今は独身だけど、将来ガールフレンドと結婚すべきかを投資家に聞くことはないと思う。もちろん、彼らは私に女性を紹介することもできるでしょう。(笑)

仮に私がこうした個人的な質問をして、人々がそれに反対しても、ガールフレンドと結婚すると思う。それが私の決断だから。

──SNSのインフルエンサーが自分自身をトークン化するような時代は来ると思いますか?

アレックス・マスメジ(Alex Masmej)
出典:同氏のフェイスブック

マスメジ:個人トークンは今後数年で膨大な数になると思う。動画配信、音楽アーティスト、SNSのインフルエンサーたちの資金集めの方法として一般的になるだろう。

2008年、マイク・メリル(Mike Merrill)は初めて個人トークンを公に取引し、2年後の2010年には別の個人トークンが生まれた。収集品をトークン化した「Whale」トークンもあった。

──新型コロナウイルスの影響は?

マスメジ:コロナ危機は、私がこうして資金調達をするきっかけになった。6月15日、私は再び個人トークンを使って、人々に私のライフスタイルについて投票してもらうことにした。ジョギングをするべきか、野菜だけを食べるべきかを決めるために。今はサンフランシスコでの新しいプロジェクトのために貯金している。

──アメリカに移るに際して、大統領選挙と現在の抗議活動についてどう考えていますか?

マスメジ:一部の就労ビザを発給停止にしたことは、アメリカにとって逆効果だと思う。新たな人材がやって来ることでアメリカは成功し、新たな雇用を生み出してきた。次の大統領には、経済に貢献する優秀な移民を再び歓迎して欲しいと思っている。

優れた起業家は常に解決策を見つけてくれる。しかし、こうした制限が長期化すれば、グローバル規模でアメリカに悪影響を与えるだろう。

警察官に暴行を受けて死亡したジョージ・フロイド(George Floyd)さんの事件をきっかけに大規模な抗議活動が起きた。私自身はパリでの抗議活動には参加しなかったが、暗号資産を「Black Lives Matter」をはじめとする団体に寄付した。

──夢はシリコンバレーの英雄と聞きましたが、個人トークンは外部情報を使いますか? それともあなた自身が必要な情報を提供するのですか?

マスメジ:今までにない最も重要な会社を作りたいと私は常に思っている。英雄になりたいとは思わない。確かに、私は価格を設定するが、外部情報を参照したり、第三者がチェックすることはない。私の投資や経費は公開される。信頼は投資家と私の間にある。

(敬称略)

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Alex Masmej/Facebook
原文:The Man Who Tokenized Himself Gives Holders Power Over His Life

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